奄美ドクヘリ

ドクヘリ運用システムの解説や同機種ヘリを披露した「運航訓練前説明会」

運航開始へ訓練説明会
龍郷町で 消防など関係者、出動態勢確認

 
県は今年12月の奄美ドクターヘリ(ドクヘリ)運航開始に向け、奄美群島内で運航前訓練の実施を11月に予定している。それを前に現在、奄美の12市町村で訓練説明会を開催。24日は、龍郷町の「どぅくさぁや館」会議室で説明会があり、消防や行政など関係機関の担当者がヘリ出動システムの概要について説明を受けた。

訓練では実際にヘリを出動。出動要請から患者搬送までを想定した一連の対応を踏まえ、基地病院と消防機関、ヘリ運航会社間の相互連携を確認する目的。11月10日、佐大熊ヘリポート(奄美市名瀬佐大熊町)での実施を皮切りに、12市町村16カ所で計画されている。

この日の説明会には、大島地区消防組合龍郷分署(村田和樹分署長)署員など15人が参加。奄美ドクヘリ事業を中心的に担っている服部淳一県立大島病院救急救命センター長が、従来の救急車両に比べ、搬送時間の大幅な短縮につながることを強調。「救急現場への医師、看護師の派遣」「医療機関までの搬送短縮」―などヘリの有効性について語った。

そのほかヘリ運航会社担当者から、機種性能のほか、救急車とヘリが合流するランデブーポイント(場外離着陸場)での誘導対応、患者の搬入要領などを解説。また同町中央グラウンドに着陸した、ドクヘリと同機種のヘリの見学会も行われた。

県によると、奄美ドクヘリは国内で最も広範囲とされる、トカラ列島を含む奄美群島全域をカバー。その一方、スムーズな運用に向けての整備が急務となっており、県は今後、群島内の救急隊員や看護師、医師の連携向上のほか、救急業務に対する住民への理解を促す方針だ。

服部センター長は「これまで行われてきた自衛隊ヘリによる島外搬送と異なり、地域の消防機関が主体となる事業。地域理解も必要なため、訓練を通じて運用への理解を呼びかけたい」と述べた。

同分署救急救命士・阿世知竜吉さんは「早急な医療対応が可能となる意味でも期待は大きく、運航開始を待ち遠しく感じている」と話した。