徳之島シンポ

諸坂佐利・神奈川大准教授の講演と質疑を交えネコ問題を考えたシンポジウム=23日、徳之島町

ネコ問題は「法令順守の問題」
室内飼養義務化を 神奈川大・諸坂氏講演も

 
【徳之島】シンポジウム「わきゃ島が好き!~私たちの宝『島の自然』を継ぐために出来ること~」(徳之島3町ネコ対策協議会主催)が23日夜、徳之島町生涯学習センターであった。関係機関・団体や住民など約100人が参加。ノネコ対策の報告やアマミノクロウサギなど題材の小・中学生夏休み自由研究の成果発表、ネコ条例など詳しい諸坂佐利・神奈川大学法学部准教授の講演で交流。条例強化など「島の宝」を守り継ぐ方策を考え合った。

徳之島地区自然保護協議会とNPO法人徳之島虹の会が共催。まず環境省徳之島自然保護官事務所の渡邊春隆自然保護官が「徳之島における希少種へのネコの影響と対策」で報告。クロウサギなど希少野生動物の脅威となっているノネコの捕獲、避妊去勢手術、人間への順化、新たな飼い主探し―など関係団体と連携した取り組みを紹介。ネコの適正の飼養、3町条例の順守もアピールした。

夏休み自由研究の成果は、▽徳之島町神之嶺小6年生の林礼門君が「生きた化石―アマミノクロウサギ」▽同町井之川中2年生の田之畑果奈子さんが「何を食べているの?『ケナガネズミ』に迫る?」でそれぞれ発表。林君は、林道上のふんなどその生活痕調査を通じ「動植物の大切さを知った。大切な自然をこれからも守り、世界自然遺産に協力したい」。田之畑さんは、ケナガネズミによる松の種の食痕(通称「森のエビフライ」)調査などを通じ「こんな貴重な生き物が生息する徳之島に暮らしていることは誇り。豊かな森を守りたい」ともアピールした。

諸坂氏の演題は「自然の守り方。昔の常識、いまの常識~徳之島の『ネコ問題』を中心に」。政策(条例)再検討が必要なネコ問題の根源として、「飼い猫の屋内飼養・不妊去勢・ワクチン接種の不徹底」も指摘。いわゆる「地域ネコ」については、奄美大島・徳之島のように地域と山野(クロウサギなど生息地)とが非常に近接する場合は「ノラネコ・ノネコと同等に警戒する政策が必要。〝金魚とピラニア〟は同じ水槽では飼えない」。

その上で、「ネコ問題は『ネコ』の問題にあらず、『人』の問題。もはやモラルの問題でもなく〝法令順守〟の問題」と、飼い主への法規制強化の必要性を強く主張。「ノラネコ・ノネコといった『不幸なる存在』を減少させるためにも、室内飼養の徹底(義務化)を積極的に図っていく必要がある」と強調した。会場質疑でも交流した。