適切なケア問われる時代

介護保険制度利用者の自立支援に向け、関係機関の連携・協働の必要性を確認した研修会

総合支援移行・軽度者サービス見直し
自立支援へ 関係機関連携を 医療・介護研修会

 NPO法人県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界島支部は29日、奄美市名瀬の奄美病院デイケア棟で第3回研修会を開いた。㈱ねこの手代表取締役の伊藤亜記さんを招き、「要支援総合支援事業移行・軽度者サービス見直しで、今すぐ対応!適切なケアマネジメント」を演題に講演。伊藤さんは「適切なケアマネジメントが問われる時代」として、利用者の自立支援や事故を未然に防ぐため、利用者を取り巻く関係者相互の連携の必要性に理解を深めた。

 介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)は市町村が中心となって、地域の実情に応じて住民など多様な主体が参画し、多様なサービスの充実によって要支援者などに対する効果的かつ効率的な支援を目指すもの。全国の市町村は第6期介護保険事業計画(2015~17年度)中に、予防給付の通所介護・訪問介護を市町村による総合事業に移行しなければならない。

 研修会は総合事業を踏まえ、ケアマネジャー(介護支援専門員)の資質向上や介護事業所の将来的な役割を学ぶ目的で開催。ケアマネやヘルパー、デイサービス事業者など76人が参加した。

 伊藤さんは厚労省が公表している要支援1、2、要介護1のサービス受給者のうち、約2~3割が1年後に重度化しているデータを示し、「私たちプロがかかわっているのに重症化しているのは、利用者の小さな変化に気付いていない私たちの慢心だ」と指摘。事業所として、①職員の育成②コンプライアンス、リスクマネジメントの見直し③利用者の経過記録を基にした各事業所の売りの把握、情報発信―などを提案した。

 受給者の自立支援は「心身面の健康」にあるとして、“集団ケア”から“個別ケア”への転換を強調。受給者の不安などの解消や夢、希望を聞き取り、実現に向け取り組む方向性を示し、「利用者が『何かできるよう』になるために、効率の良いサービスを選択して提供しなければならない」と呼びかけた。

 また利用者の情報収集のため生活相談員や介護職員、看護師など利用者を取り巻く地域の連携・協働の必要性も訴え、「総合事業に移行しても介護保険制度の目的は一緒。これからは情報を共有しながら、チームケアで利用者を元気にしていくかが求められる」と述べた。