奄美出身3人女性も熱唱

奄美の島唄をのびやかな声で歌い上げる3人の奄美の若手唄しゃ。左から伊成実さん、川畑さおりさん、指宿桃子さん

感動の演奏を披露する、南西合奏団・〝群星=むるぶし=〟のメンバー。左から指宿桃子さん、伊成実さん、川畑さおりさん、棚原健太さん、徳田泰樹さん、新垣勝裕さん

奄美の六調で大いに盛り上がるホール

「奄美・沖縄の島唄絶唱~歌い継がれる伝統の響き~」
南西合奏団〝群星〟

【東京】東京・北区の「北とぴあ・つつじホール」で5日、「黒潮浪漫街道 奄美・沖縄の島唄絶唱~歌い継がれる伝統の響き~」と題したステージが開催された。南西合奏団〝群星=むるぶし=〟が歌声を披露、メンバーである奄美出身の川畑さおりさん、伊成実さん、指宿桃子さんが熱唱、観客から盛んな拍手を浴びていた。

奄美・沖縄の若手唄しゃ(島唄)たちによる、北とぴあ国際音楽祭2016参加公演で、2016年度文化庁芸術祭参加公演。琉球衣装の男性による、「かじやで風」でスタート。その後、「情熱の奄美ブルース」のコーナーへ。「朝花節」を3人で歌った後、「よいすら節」を伊さんが、「むちゃ加那節」を指宿さんが、「嘉徳なべ加那節」を川畑さんが歌い上げた。

それぞれ「子宝と長寿の島でも有名だが、人情にもあつい徳之島」(伊さん)、「大島紬と鶏飯、果物もおいしい。バニラ航空で東京にも近くなった奄美」(指宿さん)、「平坦で太陽が隅々まで行き渡る輝く喜界島」(川畑さん)と出身地のアピールも交えての堂々の舞台に、温かい声援が送られた。

川畑さんが「私たちは安田(宝英)先生の門下生なんです」と、3人のエピソードを語った後、師匠作の「喜界やよい節」の演奏に入ると、場内からは「頑張れ」の大きな声が掛かり、手拍子、指笛(ハト)が鳴り、すっかり奄美ワールドに。

休憩をはさんで、沖縄と奄美の三線(サンシン)の構造の違いや、同じ名前の民謡でも違う歌い方をするなど、島唄入門のコーナーや全員での「涙そうそう」のコーナー。「安里屋ゆんた」と「奄美・ちんだら節」を交互に絶唱すると、会場は熱気を帯び、最後は、「六調」で締めくくられた。

主催者である伝統・民族芸能プロデューサー・中坪功雄さんは、「奄美とは40年前から縁があるが、正当な民謡の歌い手がいなくなったから」と、合奏団とイベントのきっかけを語った。

南西合奏団〝群星〟は、いずれも沖縄出身で、沖縄県立芸術大学で学ぶ棚原健太さん、徳田泰樹さん、新垣勝裕さんの3人と奄美の3人の女性で構成され、川畑さんが代表を務めている。13年に結成され、カンボジア、奄美で公演を果たしている。

 川畑さんは前日の夕方上京して即リハーサル、寝る間もほとんどないまま本番を迎えた。「チームワークも良くなってきました。もっと多くの人に奄美、沖縄の民謡を知ってもらえるよう頑張りたい」と手応え十分に振り返った。川畑さんは普段はソロで、伊さんと指宿さんはソロのほか、「すもも」のユニットとしても活動している。