ウケジママルバネクワガタ

大山でウケジママルバネクワガタについて説明を受けた参加者ら

保護や捕獲防止対策へ
現地視察と意見交換
請島

ウケジママルバネクワガタの保護および捕獲防止対策協議会が8日、瀬戸内町請島であった。同種が生息する同島大山で現地視察をしたほか、今後の保護対策や捕獲防止に向けて関係機関が集まり意見交換。大山の入山申請や捕獲・盗掘禁止の周知徹底を図ることなどを申し合わせた。

請島には絶滅危惧種IA類(環)のウケユリや今年の3月に国内希少野生動植物種に指定されたウケジママルバネクワガタ(絶滅危惧IB類)が自生・生息している。ウケジママルバネクワガタはアマミマルバネクワガタの亜種とされ、種の保存法により、譲渡や採集の禁止が条例により定められているものの、いまだ盗掘や密猟が見られるという。

同協議会は、今回初めて開催し、環境省、瀬戸内警察署、古仁屋海上保安署、池地集落、同町教委、同町文化財保護審議員らが参加。関係機関の連携確認や保護体制などの社会周知を進めることが目的で、池地集落の勝哲弘区長が案内人を務め、文化財保護審議員の前田芳之さんと服部正策さんが解説した。

大山では実際に山中に入り、ウケジママルバネクワガタが繁殖する場所を紹介。前田さんは繁殖時期や盗掘・捕獲が多くなるシーズンを示しながら、「クワガタブームが大きなきっかけ。卵を産む場所はひとつ残らず、一度は捕られたことがある場所ばかり。繁殖させ販売している人もいるが、マニアにとっては『請島で捕獲した』ということが重要なので、いまだに密猟は絶えない」などと語った。

同町では2006年から、大山に関しては入山申請を義務付けている。入山申請をし、同集落みのり会(ウケユリ保護などを目的とした有志団体)の案内で入山可能となる。しかし、申請義務を知らない旅行者や入山者も多いため、請島の民宿などにも申請書を配布しているという。

意見交換会では、この入山申請や、希少種指定されていることなどの周知徹底、不審者や不審船などを見かけた場合の連絡体制などを確認。一方で、島の住民がもし密猟中の人を発見した場合の対処として、同署からは「あやしいなと思ったら捕まえようなどと無理はしないで、110番通報してくれたら私たちが確認しに行く。理想は車やバイクのナンバーを控えておくこと。何より、あらかじめ住民が一声かけるというのは防犯上とても効果的。住んでいる人の防犯意識を高めてもらえたら」と語った。