アマミノクロウサギ

植物の葉を口に加え、巣穴へ運ぶアマミノクロウサギ(提供写真)

アマミノクロウサギの子育ての生態撮影に成功した浜田氏

子育て全容 撮影世界初
浜田さん観察記録 期間や授乳時間など確認

写真家でアマミノクロウサギ生態研究家の浜田太氏(63)は7日、奄美市名瀬の県大島支庁で会見を開き、昨年撮影したアマミノクロウサギの子育て前から巣立ちまでの観察記録を、報道陣に公開した。出産前に巣穴へ植物の葉を運ぶ映像の撮影に世界で初めて成功したほか、出産から巣立ちまでの期間や授乳時間などの生態を初めて確認。浜田氏は「子育ての生態を解明できうれしい。今後は他の行動も観察して生態を解き明かしていきたい」と意欲を示している。

浜田氏は1986年からアマミノクロウサギの生態調査を開始。98年12月には世界で初めて子育て撮影に成功するなど、30年間で9例の子育てを観察してきたが、これまでは子育て途中からの観察で、準備や子育て期間は不明だった。

浜田氏によると、今回は奄美大島中南部で昨年9月15日に巣穴を発見し、同日から暗視カメラ(センサーカメラ)を2台設置して観察をスタート。同20日には周辺の落ち葉やシダを集め、巣穴に運ぶ姿を確認。その後も葉っぱを加えて巣穴に出入りする同一個体が度々みられた。これまでにも子育てが終わった後の巣穴から、葉っぱを敷き詰める行動は推測されていたが、「撮影は世界で初めて成功した」(浜田氏)という。

昨年10月30日以降、二日間に1回のペースで巣穴に戻る姿が確認されたことから、同日を出産日と推測した。同11月11日に授乳撮影に成功。その後もほぼ二日に1回の頻度で、午後7時半から同11時頃にかけて母親個体が授乳。授乳の平均時間は約2分間だった。

昨年12月7日午後9時半頃、親とともに巣穴から巣立つ2体の個体を確認。出産から巣立ちまでの子育て期間は約40日前後(今回は39日間)とした。このことから浜田氏は「8月から12月まで、子育て準備から交尾、出産、子育て、巣立ちの期間と推察される」と述べた。

浜田氏は生態調査開始から30年で子育ての生態を撮影したことについて、「子育ての生態を解明でき、奄美の自然の素晴らしさを伝えられよかった」と笑み。今後については「求愛行動や縄張り意識など、分からない生態も多い。これらの行動についても解明して公表していきたい」と話した。

今回の研究成果は、17日から沖縄県で開催される国際動物学会、日本動物学会の合同会議でポスター発表する予定。