奄美ドクヘリ

基地局で待機するドクヘリに搭乗する医師などスタッフ

参加者は救急車からヘリへの患者搬送対処を確認した

群島内で運航前訓練スタート
要請から搬送まで確認
配備機体使用、実践的に

鹿県内での救急ヘリ配備は2例目となる奄美ドクターヘリ(ドクヘリ)の運航開始を前に、県は奄美群島内の消防機関を対象にした「運航前訓練」を11日から、スタートさせた。12市町村16カ所で計画され、初日は龍郷町浦の中央グラウンドで実施。大島地区消防組合龍郷分署、同町消防団など約40人が参加し、ヘリの出動要請から患者搬送まで、一連の流れを確認した。

訓練は、高所作業中に転落し、意識不明となった70歳男性の同町内ヘリ搬送を想定。

119番通報を受け、大島地区消防組合消防本部・通信司令室は、ヘリ基地局の県立大島病院救急救命センター=奄美市名瀬=に出動を要請。担当スタッフ6人(フライトドクター、フライトナース、操縦士、整備士)は基地局ヘリポートに待機する機体に搭乗し、出発した。

出動要請から10分足らずで、ヘリは救急車と合流するランデブーポイント(場外離着陸場)の同グラウンドに到着。その後、患者搬入や地上誘導時の合図などの講習を行った。

ヘリ運航会社担当者によると、医療資源(病院・医師)が乏しく、国内で最も広範囲のエリア(奄美群島、トカラ列島)をカバーするため、奄美のドクヘリは巡行速度約270㌔、半径600㌔を無給油飛行できる国内トップクラスの機能を持つ。訓練は配備機体を使用し、実践的に行われた。

奄美ドクヘリ導入を中心的に担った、服部淳一同病院救急救命センター長は「離島医療の向上につながる事業。きょう基地局に到着したヘリを見て、感無量」とコメント。運航開始を前に「関係者一丸となって、スムーズな運用に努めたい」と述べた。

県によると、迅速な対処に向け、ランデブーポイントの拡大やスタッフの確保・育成、携帯電話不通エリアの対応などソフト面の課題解消を図る考え。運航開始は12月下旬を見込み、訓練は11月いっぱいを予定している。

今回ヘリに搭乗した、フライトナースの坂元あゆみさん(40)は「奄美の医療の歴史を刻む日となった。関係者と連携して、市民に愛されるドクターヘリを目指したい」と意欲を語った。

同町消防団の園山和昭隊長は「ヘリ誘導など、消火活動だけでなく救急活動も任務に加わる。地域のため、気を引き締めて取り組みたい」と話した。