庁舎建設予定地に決定した旧町立診療所周辺=与論町=
【沖永良部】第2回与論町新庁舎建設計画に関する住民説明会が22日、同町地域福祉センターであった。庁舎建設予定地については、9日開催の第8回庁舎建設検討委員会(委員長・久留満博副町長)で「旧町立診療所用地を中心とする一帯」に決定したことを報告。建設期間中の仮庁舎は、多目的屋内運動場や砂美地来館など5カ所に各課を振り分ける計画が示された。山元宗町長は「現在考えている場所に役場を移転していきたい。仮庁舎への移転も緊急を要し、多目的屋内運動場を利用する住民にも了解を得ている」と述べた。
地域住民約50人が参加。同検討委による建設予定地決定までの経緯を役場総務企画課の担当職員が説明した。
予定地の選定では、建設候補地に上がっていた現庁舎の場所を含む5カ所のうち、利便性や安全性、実現可能性などの評価が最も高かった砂美地来館周辺と、2番目の中央公民館周辺の2カ所で現地調査と意見交換を実施。
砂美地来館周辺については「地権者との交渉が進まないという意見が多く、予定地とした場合に実現できるか不透明」との調査結果が出たのに対し、中央公民館周辺は「標高30㍍以上で津波への安心感がある」「旧町立診療所用地を活用すれば、用地交渉が省ける」「商店街との距離感、人の流動性が良い」などの利点が挙げられたことから、旧町立診療所を中心に用地確保の検討や建設シミュレーションが行われた。
その結果、建設用地については「2階建て以上の庁舎であれば十分な敷地を確保できる」。駐車場の確保は「旧診療所の隣接地を取得する」。幹線道路(県道)へのアクセスは「現道路幅では緊急時の消防車の通行に支障をきたす恐れがあり、民有地の取得交渉を進め道路を拡幅する予定。また、緊急時に茶花小学校や茶花産業道路側からの避難がスムーズに行えるよう県道から保健センターへの道路を新設整備する」とした。
質疑では、住民から質問のあった建設事業費について行政側は「10億円程度を見ており、2014年度以降から積み立てている庁舎建設基金は3億7千万円となっている。18年度に着工し2カ年の債務負担行為を考えている。それまでに5億円まで積み立てる」と説明した。このほか、同日発生した福島県沖の地震を受け参加者から「自然は人間が想像しているものではない。庁舎を移転した上で町の活性化を検討してほしい」との意見や、庁舎移転で茶花市街地の衰退を懸念する声も出た。
庁舎の仮移転先は、多目的屋内運動場、砂美地来館、防災センター、南庁舎、新ごみ焼却施設の5カ所を計画。期間は17年4月~20年3月末までの3年間。多目的屋内運動場に関しては施設内にプレハブの事務所を建設し、総務企画課や町民支援課、会計課、税務課、農業委員会、町長室などが入る予定。教育委員会事務局・教育長室は砂美地来館2階研修室へ、議会事務局や議場は防災センターを活用。建設課は南庁舎に、環境課は現在建設中の新ごみ焼却施設に入る。