奄美大島でゾウムシ研究会

ゾウムシ根絶に向けて産官学で意見を交わした「ゾウムシ研究会」

被害の現状 課題探る
根絶向け産官学で情報共有

イモ類の害虫であるゾウムシの根絶防除事業などについて産官学で情報共有、意見交換する2016年度「ゾウムシ研究会」が29日、奄美市名瀬の県農業開発総合センター大島支場であった。奄美・沖縄両地域の研究者ら関係者約50人が参加。研究発表を通し、それぞれの地域におけるゾウムシ被害の現状と課題を探った。

発表者のうち県大島支庁農政普及課特殊病害虫係の職員らは主に喜界島におけるアリモドキゾウムシ根絶実証事業の実施状況や、事業における調査内容などについて発表した。

同課の野島秀伸・参事付は喜界島の山間部におけるアリモドキゾウムシの生息状況について調査した内容を発表。調査地点では山間部中腹では発生が少ないことが確認されたことなどから、野生虫の密度が低い場合、山際(上下)を優先して寄主植物(ノアサガオ等)除去、密度抑圧防除を行い、不妊虫放飼に移行するなど、今後の防除対策について言及した。

また同課の吉松孝宏・技術主査はテックス板の効果についての現地ヒアリング等で「1年目は効果があるが2年目以降は効果があがっていない」などの声をもとに、約4年間(今年8月まで)のテックス板の防除効果に関する寄主植物調査の結果など報告。今回の調査からは、「防除効果は判然としなかった」とし、テックス板の防除効果が上がっていない原因の調査と併せて他の密度抑圧防除の手法を検討する必要性にも触れた。

続いて発表した同センター大島支場の嶽﨑研・研究専門員は、喜界島で十分な効果が得られていないテックス板の有効性を再検討することを目的に、実施したテックス板の誘引特性に関する調査結果など報告した。

ただ質疑では「(防除事業を行う沖縄の)久米島ではテックス板は『効果的なもの』という認識」など沖縄の関係者から意見があり、喜界島で防除効果が上がっていないことに関し、より掘り下げた原因の調査を求める声もあった。