「剥岳林道」車両進入を規制

盗採防止など自然保護を重視。車両を進入規制した「剥岳林道」
(右・宮川主席森林官、左・松村会長)=1日、徳之島

盗採防止、自然保護へ林野庁

【徳之島】林野庁鹿児島森林管理署は1日、徳之島町大原―天城町三京地区の国有林(保存・保全利用地区)をぬう「剥=はげ=岳林道」の約2・3㌔区間に門扉(鋼管製)を設置して施錠、一般車両の進入規制を始めた。同林道が世界自然遺産推薦区域案に含まれることもあり、希少動植物の盗採防止など自然保護が目的。林道への車両規制は同島初で、住民に理解と協力を呼び掛けている。

鹿児島森林管理署は9月中旬、徳之島地区自然保護推進協議会(松村博光会長)の臨時会に対し、門扉設置・施錠への林野庁方針で意見を求め賛同を得た。10月から両進入口に設置工事を進めていた。

周知を図るため同森林管理署徳之島森林事務所の宮川貴之主席森林官が1日、現地で会見。あらためて進入規制の目的、①希少動植物の盗採・盗掘防止②林道(平均幅員約5㍍)の路面保護(車両進入増懸念)③林道が世界自然遺産推薦区域案に含まれ、トレイルコースの活用も予定。アマミノクロウサギや希少ラン類など希少種・固有種の野生生物保護(要旨)を説明。

「これを機に、住民の方々が島の自然に興味を持って欲しい。不審な人や車両などを見かけた場合は情報提供を」ともアピール。徳之島の林道では初の進入規制のため、「他の林道のモニタリング的な役目にもなれば」と同森林官。調査目的などで国有林に入る際は事前の「入林届」が必要。門扉の鍵の貸し出しも同森林事務所で行う。

徳之島自然保護推進協の松村会長(NPO法人クロウサギの里理事長)は「一帯はオキナワウラジロガシの群生地でもあり、景観的にも素晴らしい地域。規制することで自然生態系の多様性が守られ、元に戻ってくれると思う」と話した。

ちなみに、同島の最高峰「井之川岳」(645㍍)および同連山の「剥岳林道」など一帯では2011年2月、宮崎と霧島両市の男2人組が、希少種のラン類などを大量に盗採し、県希少野生動植物の保護に関する条例や森林法違反容疑で徳之島署に摘発されている。

鹿児島森林管理署徳之島森林事務所(徳之島町亀津、TEL0997-82-0027)。