東京・銀座で「奄美を描く美術展」

レセプションであいさつをする、田中一村記念美術館館長の宮崎緑さん

奄美の絵画に彩りを添えた、唄者・牧岡奈美さん


プログラムになかった牧岡奈美さんの唄と演奏、宮崎さんのチヂンで「六調」で盛り上がる列席者たち

初の巡回展開催
牧岡奈美さんシマ唄 美しい絵画に彩り

【東京】奄美の風景、空間を堪能して――。「第15回記念・奄美を描く美術展」(主催・奄美を描く美術展実行委員会、後援・奄美新聞社ほか)の巡回展が28日から、東京・銀座の「美術家連盟画廊」(中央区銀座3・10・19)でスタート、同日夕レセプションが行われた。式典では鹿児島県奄美パーク園長で田中一村記念美術館館長の宮崎緑さんがあいさつに立った。また、喜界島出身の唄者で、東京でライブやラジオパーソナリティーとして活躍する、牧岡奈美さんがシマ唄を披露、美しい奄美の絵画に彩りを添えていた。

今回の美術展には、奄美、鹿児島県内はもちろん、日本各地から15歳~92歳の97人の男女から124点の作品が寄せられた。奄美の豊かな自然や生活風景が描かれた力作の中から、大賞に輝いたのは、宇検村の山口明日香さんの作品「阿室海景Ⅲ」。10月30日には、「田中一村記念美術館」(笠利町)で美術展の授賞式が華やかに執り行われている。パンフレットには「水、風、流れなどを俯瞰して海の流動的な良いフォルムを生み出している。透明感やきらめきを感じさせる色調で、臨場感のある作品である」と受賞説明がある。

巡回展は、山口さんの作品を含め入賞作12点、賞候補作品16点のほか、歴代の審査員の作品が展示されている。宮崎さんは、「 年々応募作品のレベルが高くなって、それぞれの心の中の奄美が作品に描かれている。奄美の自然や風景は世界の宝、それをもっともっと表現して輝いてほしい」。期待を込め、感想を述べた。

また、宮崎さんは「今まで巡回展は、各島を巡っていたが、何と言っても東京の人を(感動で)ぎゃふんと言わせたかった。一人でも多くの人にこの奄美の空間を味わってほしかった」と、東京での初開催の経緯を説明した。

奄美からも駆け付けた出席者を前に、牧岡さんは「朝花節」「行きゃんにゃ加那」「ワイド節」を三線(サンシン)の音にのびやかな唄声を乗せれば、手拍子、踊り、一緒に歌いだす、奄美の風景が映し出されたよう。最後は予定になかった「六調」が宮崎さんの島太鼓(チヂン)で始まると、絵画と一体となって銀座が奄美の世界に染まった。

 奄美を描く美術展」は、奄美の風物をテーマとし、全国の美術を愛好する人たちが奄美を訪れ地域の風物や文化に接する機会を提供するとともに、奄美の文化振興、観光発展に寄与することを目的に開催されている。奄美大島以外の出身者のある審査員は、「奄美に行くと人も自然も豊かで、気持ちも一気に明るくなり筆もとりやすい」と奄美が感動を呼ぶ土地柄で、絵になる風景にあふれていることを力説する。奄美の魅力を存分に味わえる巡回展は、12月3日(土)まで。開館は午前11時から午後7時まで(最終日は、午後5時)。