「徳之島から世界へ」

シンポジウムでは、島の宝を見直して生かす「徳之島宣言」も=4日、伊仙町ほーらい館

島の宝「環境文化」生かす宣言
国立公園・世界遺産・地方創生でシンポ
伊仙町

 【徳之島】伊仙町の地方創生加速化交付金事業シンポジウム「徳之島から世界へ~国立公園・世界自然遺産・地方創生~」(同町主催)が4日、同町ほーらい館であった。酒井正子川村学園大名誉教授と寺田仁志文化庁文化財部非常勤調査員・県立博物館学芸指導員の基調講演を交えパネルディスカッション。同島の「環境文化」の複合的な価値観を再認識し合い、国立公園化と世界自然遺産登録を歓迎し「島の宝」を生かすことなどを宣言した。

 同町は地方創生に「長寿・子宝」の強みを生かす「生涯活躍のまちづくり」を掲げている。シンポジウムは、徳之島を含む奄美・琉球が世界自然遺産候補地となり、日本初の「環境文化型国立公園」指定も迫ったことから、町の自然・歴史・伝統文化など地域資源の「可能性と価値の再発見」が目的。町内外から約150人が来場。大久保明町長は「島の価値を生かす地方創生で徳之島から日本、世界へと発信できるシンポに」とアピールした。

 酒井氏は「徳之島の芸能の活力、デジタルアーカイブから」と題し、1983年ごろから調査してきた同町西犬田布の「イッサンサン」、目手久の「立踊り」など同島の伝統芸能の数々の動画を交え特徴を解説。寺田氏は「ケンモンが住む徳之島の海・山・川・里」と題し、多様な動植物の固有種も多いことなど解説。「(伝説の妖怪)ケンモンは、海では子どもたちが無茶をしないようにいさめて見守り、森ではむやみに森を荒らさないよう人に怖れを抱かせた。人や自然を守るために創り出されたと考えられる」とも述べた。

 パネルディスカッションには、▽小野寺浩・屋久島環境文化財団理事長をコーディネーターに、▽池田榮史琉球大教授▽永山悦子毎日新聞社医療福祉部副部長▽酒井氏▽寺田氏▽大久保町長が登壇した。

 小野寺氏は、国立公園と世界遺産へのスケジュールや同島動植物の固有種・絶滅危惧種比率の高さなど解説を交えて、「国立公園・世界遺産プラス地方創生。徳之島モデル・同方式」の日本初提案などもアドバイス。同町カムィヤキ窯跡遺跡など調査にも長年協力した池田氏は「同町の文化的魅力と利活用の基礎的資源」を解説し「歴史的動態を将来に生かすことが大事」。永山氏は屋久島や長崎県「端島(軍艦島)」など世界遺産登録先例地のケースも交え「(奄美・徳之島の)キーワードはクロウサギだが、その他メニューも考えておかないとガッカリして帰ることに」とも強調した。

 最後に、「私たちは、世界遺産と国立公園を歓迎。これを大きなチャンスとして徳之島の未来をつくる。島の自然と歴史・文化は人々が育んだ『環境文化』。この豊かさを見直し、島の宝を生かします」(要旨)との「12・4徳之島宣言」を行った。