古市さん市内中学校で講演

小宿中で講演する古市さん

「思いやりの心持って接して」
名瀬LC50周年事業

 バイク事故で容姿が変貌した不幸を乗り越え、生きていることの大切さについて語る講演家として活動している古市佳央さんが6日、奄美市名瀬の金久中と小宿中で講演した。名瀬ライオンズクラブが結成50周年を記念した教育講演会として開催。小宿中では、小宿中と崎原中の生徒計約190人が、人が生きている意味について考えさせられる語りに聞き入った。

 東京都出身の古市さんは16歳の頃にバイク事故で全身の41%に大やけどを負い、皮膚移植手術などで一命を取り留めたものの容姿は変貌した。

 古市さんは、バイク事故で入院していた時には、顔が変貌してしまっていることへの恐れから絶望を感じ、死を考えたりし、「生きている意味を入院中に探した」という。

 入院中には患者が亡くなり、その家族などが悲しむ姿を見て、「人は生きていることで誰かを悲しませない。それが生きている意味だった」と気付いた。そのことを踏まえて「僕たちは生きていることでお互いを幸せにしている。これはすごいこと」と語りかけた。

 入院中に出会った余命を宣告された白血病の25歳の女性が、余命を後悔のないように生きていたであろうエピソードを披露し、「実はきょうという一日はかけがえのない日」と語った。

 古市さんはその変貌した容姿から奇異の目で見られ、悔しい思いもしたが、知り合いの勧めで講演を始めると「生きていてくれてありがとう」と感謝されたり、励まされたりし、「勇気を持って人前に立つことに何か意味があるのかもしれない」と考えるようになった。

 講演をする中でたくさんの人の愛情を受けたことを踏まえ、人が人を認めることについて、「僕たちは人を幸せにすることができる」と力を込めた。

 今の世の中は「思いやりにかけている」ことなどを訴え、温かい世の中にするためには「目の前の人に思いやりの心を持って接すること」が大事と強調した。

 古市さんの講演は7日と8日にも市内中学校で行われる。7日は朝日中と名瀬中、8日は赤木名中である。