東京で安田民謡教室50周年記念ライブ

6人の弟子(娘)たちによる「島むすめ」でいっそう盛り上がるステージ

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師匠の安田さんへの思いを語る牧岡奈美さん、左は指宿桃子さん

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そろいの法被で登場した安田門下生。左から田向美春さん、前泊佑香さん、牧岡奈美さん、東郷さやかさん、指宿桃子さん、伊成実さん

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津軽三味線と奄美三線のコラボによる六調で、踊り、唄の輪が広がり大盛況となった

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津軽三味線を力強く披露する友情出演の本田浩平さん

「安田門下生」6人の唄者思い込める
喜界で子ども達に民謡指導

 【東京】安田先生の教えを未来へ――。東京・渋谷区の「マンサード代官山」で3日、喜界島で子どもたちに民謡を指導した安田宝英=たかひで=さんの「安田民謡教室50周年記念ライブin東京」が開催された。ステージでは「安田門下生」の6人の唄者が思いを込めた民謡を披露、熱気あふれる会場で盛んな拍手を浴びていた。

 出演したのは牧岡奈美さん、田向美春さん、前泊佑香さん、東郷さやかさん、指宿桃子さん、伊成実さん。大島紬に奄美の海を思わせる青に「安田民謡教室」と名前が入ったそろいの法被で満面に登場すると、立ち見が出るほどの会場からは大きな拍手が沸き起こった。
全員で「朝花節」であいさつ代わりの演奏。 

 その後、前泊さんの司会で出演者の紹介に続き、それぞれが「糸くり節」(東郷さん)、「塩道長浜節」(田向さん)、「長雲節」(伊さん)など、「安 田先生が好きでよく歌っていた」という牧岡さんの選曲を歌い上げると、ハイテクな雰囲気漂う、おしゃれな代官山の空間に奄美の風が吹きかけてきた。その後二人一組になって民謡を披露。「台風の時でも、ずっと民謡を歌いながら私たち生徒を待っていてくれた」(前泊さん)などと優しい師匠のエピソードも明かされるなど、終始なごやかなムード。

 観客席から掛け声も掛かった全員での「島のブルース」で盛り上がった前半が終わると、駆け付けた100人を超える人たちは、喜界島の特産品コーナーでタンカンジュースや、ヨモギもちを買い求め、鶏飯をおいしそうに味わう姿も見られた。また、喜界島と徳之島の安田民謡教室からは、映像で応援メッセージが大画面に映し出された。安田すえ子夫人は、「療養中ですが、元気に過ごしています」と宝英さんの近況報告と共に、感謝の言葉を述べていた。

 後半には、「喜界島にはまって11回も訪れた」という津軽三味線の本田浩平さんが友情出演。「津軽あいや節」「津軽じょんから節」に魂を込めた。その後、指宿さんが「むちゃ加那」を説明を加えて歌うなど、それぞれが 曲を歌い上げると観客席はヒートアップ。やがて6人の奄美の唄者と、津軽三味線のコラボによる「ワイド節」と続くフィナーレへ。指笛(ハト)が鳴り響き、六調に血が騒いだ人たちがステージに上り、大きな踊りの輪が歓喜の中で躍動した。

 一方、記念すべきライブの中心となった牧岡さんも「安田先生に出会えたから、こうして歌うことができ、多くの人たちにも出会えた」と感慨深く語り、民謡大賞曲「嘉徳なべ加那」を熱唱した。「安田民謡教室」は、民謡を広く伝えようと開いた教室。ほかにも、川畑さおりさんら、数多くの門下生を輩出。安田さんは、島唄の指導と文化伝承者として高く評価されている。