クリスマスカラーがこの時期にぴったり(西康範さん撮影)
鮮やか「ユワンツチトリモチ」
奄美大島最高峰の湯湾岳(標高694㍍)で土中から、にょっきりと頭を出していた「ユワンツチトリモチ」を西康範さんが撮影した。周辺にはコケの一種がみられ、鮮やかな赤色と緑色がまるでクリスマスカラーのよう。自然の色彩が季節感を醸し出している。
ツチトリモチ科で、準絶滅危惧種。形からキノコのように見えるが、菌類ではなく双子葉植物。赤い花穂=かすい=が特徴だ。地上へは花序(花茎)だけが顔を出す。葉緑素は持っていない。
『奄美の絶滅危惧植物』(山下弘さん著)によると、ユワンツチトリモチは常緑広葉樹林内の林床に生える高さ7~10㌢の多年生寄生植物。イジュなどの根部分に寄生する。森林伐採や踏みつけなどが原因で数が減少したが、かつては湯湾岳山頂付近で普通に見ることができたという。
花期は12月から1月頃まで。湯湾岳の山頂部分まで登れば出会えるかもしれない。