「亀津田植え踊り・浜踊り伝承の碑」を除幕する関係者=11日、徳之島町亀津中区
「伝承の碑」建立・除幕を記念して「亀津田植え踊り」の披露も
【徳之島】徳之島町亀津の中区郷土芸能保存会(白山正英会長)と石碑建立委員会(福山武雄会長)の「亀津田植え踊り・浜踊り伝承の碑」の除幕式が10日、中区生活館であった。除幕式や同芸能の披露・祝賀会を交え、歴史的な芸能文化財としての意義と継承保存の大切さを「伝承の碑」でも後世に伝えていく。
「田植え唄」は稲作が盛んだったころの労働歌「イトゥ」としてのほか、水田を購入した時の「新田(みぃーた)植え」でも行われた。畦=あぜ=に立つ音頭取りの男性と植え手の女性陣との歌掛けは徳之島独特で、さらに組織立てて唄いながら踊るのは亀津田植え踊りのみといわれる。
中区高齢者クラブ(間=はざま=早男会長)では2010年に芸能保存会を立ち上げて田植え踊りを復活した。月2回の定例練習会や町公民館講座、各種行事への出演などで伝承活動に取り組んできた。
「伝承の碑」建立の背景は保存会会員たちの高齢化とタイミングと間会長。同会長を世話役に今年9月、石碑建立委を立ち上げ、「歴史的な文化財としての意義と伝承の重要性を後世に」と、会員や本土在住の出身有志たちにも協力を呼び掛けた。中区生活館の庭に完成した碑(みかげ石製、高さ1・3㍍)の裏面には趣意も刻み、現会員名や寄付板も添えた。
来賓など関係者代表らで除幕。隣接の駐車場では、心を一つに力強い「亀津田植え踊り」を唄い踊った。式典では白山、福山両会長のあいさつに続き、世話役の間会長は経過報告で「保存会員たちの年齢と、今しかないとのタイミングで手をつけた。地域の貴重な伝統芸能を継承保存することは保存会に課された責任」とお礼を述べた。高岡秀規町長らが祝辞でその機運の盛り上がりを評価した。
同町文化協会および文化財保護審議会の町田進会長は「稲作が消えたなかで、田植え唄もいかにして残すかが課題」「シマがシマであり続けるため価値あるものは島唄と浜踊り。郷土の伝統文化は人と人の絆を深める。伝承の碑を通して人々の心が豊かになって欲しい」と話した。