冬告げる花々ひっそりと

照葉樹の林床に自生するオキナワテイショウソウ。白い花は重なっている

オオバカンアオイ
葉に隠れるようにして咲いているオオバカンアオイの花

観察の森 照葉樹林内で開花

 冬場特有の強風が吹き、奄美も気温の低下が続いているが、龍郷町にある奄美自然観察の森では、冬を告げる花々が開花している。オキナワテイショウソウとオオバカンアオイ。照葉樹林内でひっそりと咲く様子には趣きがある。

 標高約300㍍の長雲峠内にある観察の森。15日午前中の気温は12~13度まで下がった。平地とは3~5度の気温差があるという。観察の森・自然観察指導員の川畑力さんによると、オキナワテイショウソウが自生しているのは1カ所のみ。過去には盗掘被害に遭ったことも。徐々に増えつつあるものの自生地での数は少ない。

 キク科で奄美大島から沖縄諸島にかけて分布するが、奄美大島が北限とされている。オキナワテイショウソウの白い花は1㌢ほどと小さい。三つの花(頭花)が重なっているのが特徴で、赤いおしべが純白の中に浮き立つ。「秋の終わりから咲き始める。冬の花で、12月いっぱいは観察できる」(川畑さん)。

 オオバカンアオイは奄美大島と徳之島に自生する固有種。ウマノスズクサ科で方言名は「ヤマゴボウ」。一般的に花は枝先につくが、オオバカンアオイの場合、大型で厚い葉に隠れるようにして地表部分に紫色の花をつける。現在確認されているのは2輪。開花期間は長く1~2カ月は観察できるという。