多文化共生地域づくり講座

奄美大島に居住する外国人の視点から、島内の課題や外国人観光客の増加に向けた手がかりを探った

「ちがい」生かし共生へ
外国人視点で◎地域活性化策検討も

 2016年度「奄美における多文化共生地域づくり講座」(公益財団法人県国際交流協会主催)が17日、奄美市名瀬のAiAiひろばであった。NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会の志渡澤=しとざわ=祥宏監事が招かれ、「外国人住民との協働による地域活性化」を演題に講演。参加者らは外国人と地元住民と異なる視点で見た奄美の「ちがい」を認識し、それを活用した共生社会の実現や地域活性化策について理解を深めた。

 多文化共生は、国籍や民族などの異なる人々が互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築こうとしながら地域社会の構成員としてともに生きていくこと。志渡澤監事は、外国人住民は地域力アップに不可欠な視点として、①よそ者②若者③ばか者④切れ者―を持つ人材と説明。少子高齢化による将来的な人口減少が予測されるなか、世界自然遺産登録を見据え外国人観光客による奄美大島の活性化を提言した。

 結婚を機に23年前から奄美大島で居住する、中国・上海出身の北郷さやかさんは、「免税対応に時間がかかる。島内に中国語を話せる人材も少ない」と島内の課題を指摘。「中国人から見たら奄美は日本。日本に来たことを実感できる見世物や食べ物を提供して、満足度を上げることが必要」と話した。

 その後のワークショップでは3班に分かれ、奄美の活性化に必要な対策を検討。意見として、「土俵を活用した相撲やシマ博覧会の通年開催など体験メニューの充実」、「黒糖焼酎や米国占領下時代など歴史や物語」、「外国語表記、非課税奄美特区などによる観光客誘致」、「免税店拠点の設置」などが挙がった。

 志渡澤監事は「日本社会と外国人側の双方向からの歩み寄りにより、交流・協働で持続可能なシステムづくりや顔の見える関係性を構築することが、多文化共生社会の実現・促進につながる」とアドバイスした。