崎原産廃処分場 建設阻止へ気勢

産廃処分場の建設阻止に向けて拳を突き上げ、気勢をあげる住民集会の参加者ら

弁護士・専門家ら招き住民集会
安定型処分場危険性学ぶ
古見方地区対策協

 奄美市名瀬崎原の田雲川上流の山林で、民間業者が産業廃棄物の安定型埋め立て処分場の建設を計画し、同町内会の住民らが強く反対している問題で、古見方地区産業廃棄物対策協議会(会長・瀧田龍也崎原町内会長)は18日、「産廃処分場建設阻止住民集会」を同市名瀬の大川小中学校体育館で開いた。同地区を中心に約250人が参加し、産廃処分場建設の阻止へ気勢をあげたほか、専門家による講演を通して「安定型処分場の危険性」について理解を深めた。

 今年10月に同問題が浮上して以降では、11月6日に続き今回が2度目の集会。市内住民のほか奄美市議や、住民運動をサポートする弁護団として福岡県から高橋謙一弁護士、市橋康之弁護士も参加した。

 瀧田会長は「約1カ月で署名も初期目標を上回る5千筆が集まった。年明けにも県に提出したい。私たちの活動が多くの人の理解を得て、『処分場をつくらせてはいけない』との機運が広がりつつある」と主張。「一人でも多く仲間を増やし、今後も反対運動の機運を絶やさないでほしい。長い闘いになるがご支援ご協力を」と訴えた。

 集会に出席した住民3人がマイクを握り、仮に島外から災害ゴミ等が処分場に持ち込まれた場合の危険性や、古見方地区をはじめとした奄美大島の自然の豊かさなどについて訴えた。その後、同市の田中孝次郎さんが「奄美の自然遺産の動きに逆行する産廃処分場建設。一個人の利益のためにこれは許されることではない。今ある自然は先人が残してくれたかけがえのない財産で、これを次の世代に残すことは今を生きる私たちの使命。産廃処分場(建設)に断固として反対する」などと産廃阻止の声明文を力強く読み上げた。

 講演では元千葉工業大学教授で、産廃処分場等の問題に詳しい八尋信英氏が「安定型処分場の危険性」をテーマに講話。有害物質の発生や、違反物の搬入など福岡をはじめ、各地の産廃処分場で起こった問題などについて具体的な事例をもとに説明した。八尋氏は「反対するには反対するだけの根拠をつきつけないといけない。処分場の問題や、自然環境に対する認識についても学んでいってほしい」と呼びかけた。

 高橋、市橋両弁護士は「いったん破壊されると(自然は)もう戻らない。とにかく始めさせないこと」「業者も残念ながら行政も、(産廃処分場を)つくるためには何でもしてくる。大事なことはあきらめないこと」などと述べた。また来年2月に全国でゴミ問題・環境問題等に取り組む弁護士らでつくる「たたかう住民とともにゴミ問題の解決を目指す弁護士の連絡会(ゴミ弁連)」の緊急集会を、奄美市で開催すると明かした。

 同産廃処分場建設計画は、1999年に鹿児島県が㈱三宝開発(指宿健一郎社長)に対し出した廃棄物処理法に基づく施設設置許可等に基づき、行おうとしているもの。計画によれば埋立地面積は4万2650平方㍍、埋立容量は39万7140立方㍍。瀧田会長によると業者側から10月下旬に、「11月7日に工事に入る」と同町内会へ連絡があり、その後すぐに『延期』を伝えられて以降、連絡はないという。