IPで離島間共有

情報共有でインターネットを活用した「事後検証会」

症例情報、消防機関に配信
県立大島病院

 県立大島病院(眞田純一院長)は10日夜、同病院救命救急センター研修ホールで救急搬送事例の報告・意見交換を行う定例の「事後検証会」を開いた。今回、奄美群島の消防機関に対し、IP無線(インターネット)による情報配信を試験的に実施。事例概要はインターネット回線を通じて喜界島、徳之島、沖永良部島の消防機関に同時配信された。

 同会は、地元の医療従事者や大島地区消防組合の救命救急士などが対象。搬送事例を討論することで、地域の救急医療の質を高めることを目的に毎月開催している。

 この日は、奄美大島の救急隊員、医師、看護師など約30人が参加。同組合消防本部所属の救命救急士・沖島健太さん、村田靖明さんによる低血糖症例の救急活動の報告があった。

 会では、奄美市内で低血糖から意識障害を起こした住民の搬送例を挙げ、現地到着時の様子や搬送時に行った処置を説明。沖島さんは「迅速な搬送と現場処置の判断」「意識障害に対する血糖測定の有用性」について医師に意見を求めた。

 同病院によると、IP無線を通じた関係機関の情報共有は奄美では初めて。服部淳一救命救急センター長は昨年末運航した奄美ドクターヘリとの連携を踏まえ、「各消防機関の救急事案対処能力の向上が期待できる」として、配信活用に前向きな姿勢を示した。