豊作・大玉、色づきは遅れ

間もなく収穫期に入り2年ぶりに流通するタンカン。特有の紅乗りなど色づきへの注意が必要となっている

今期のタンカン 品質良く「寒に期待」
2年ぶり流通へ

 果樹農業の柱・タンカンは2月1日から収穫が始まるが、前期はミカンコミバエ問題で緊急防除により島外に出荷できない移動規制が行われたため、2年ぶりの流通となる。奄美大島の生産状況は豊作が見込まれ大玉傾向にある一方、色づきは遅れぎみ。関係機関は収穫にあたり外観の着色状況への注意を呼び掛けている。

 タンカンの集出荷にあたっては、奄美群島振興開発事業のソフト事業を活用し整備された奄美大島選果場(奄美市名瀬朝戸)にある高性能光センサー選果機を使うことで、生産者は消費者への品質保証が可能。JA共販や市場出荷、個別販売により島外に流通する場合も品質保証が産地の信頼につながり、奄美産のブランドが確立される。

 同選果場を管理運営するJAあまみ大島事業本部では品質保証と同時に、適期収穫の目安となる果実品質分析をJAの部会員を対象に昨年8月行っており、今月12日が最終となった。分析に協力した県大島支庁農政普及課によると、今期は12月の時点で減酸(クエン酸切れ)が早い傾向が見られ、最終分析では奄美大島の南部から持ち込まれたもので0・9%台もあったという。

 減酸が早いことで糖度が上昇しており、最高で11度を超え既に12度に達しているものも。品質は良好だが、果実の外観で色づきの遅れが指摘されている。タンカンを大規模栽培している平井果樹園は名瀬の山間部にある本茶地区に園があるが、平年に比べて1週間程度色づきが遅れているという。

 名瀬地区の昨年の平均気温をみると、年間で0・9度上昇し、12月の平均気温は1・2度も上昇した。同課は「色づきの遅れは温度の高さなどが影響している。下場や上場、北部や南部と栽培地によって状態が異なるが、タンカン特有の紅が乗ったものを収穫するなど色づきに注意しながら適期収穫を図ってほしい」と呼び掛けるとともに、今月中盤以降には気温の低下が続いていることから、「寒が色の乗りを促進するのではないか。寒に期待したい」としている。

 JAでは250㌧の取扱量を見込んでいるが、今期のタンカンは豊作で2Lや3Lといった大玉傾向にある。果実の廃棄処分が行われた前期は12月から1月と早期収穫が行われた関係で樹が早めに仕上がったほか、気温の上昇、台風被害やヒヨドリなど鳥害のない状況が豊作・大玉化につながったとみられている。地元市場におけるポンカンの12月相場で起きたように量が多いと値段が下がるだけに、外観を含めた品質の良否によって価格差が顕著になりそうだ。