鑑評会

各焼酎の出来を確かめる審査員ら

黒糖は33点が出品
「原料特性がはっきり」
本格焼酎

 【鹿児島】2016酒造年度(16年7月―17年6月)に県内で製造された本格焼酎の出来ばえを評価する県本格焼酎鑑評会が18日、鹿児島市錦江町の県酒造会館であった。

 県酒造組合が本格焼酎の酒質向上を目指して毎年実施している。今年はサツマイモ、黒糖、米、麦の原料別に102製造場から234点の出品があった。このうち奄美の黒糖焼酎は17製造場、33点だった。

 熊本国税局鑑定官室の戎智己室長を審査長に、県工業技術センター、鹿児島大から6人が審査を担当した。審査委員は、グラスにくみ分けられた焼酎を口に含み、味や香りなどを総合的に判断し、最高点1点から5段階評価を各焼酎につけていった。

 黒糖に関しては「原料の特性がはっきり出ているものが多かった」と戎室長。「味や香りの欠点がなく、技術力の高さがうかがえた」と評価していた。

 15酒造年度、鹿児島県の本格焼酎全体の生産量は、原料芋の不足による製造数量の減少などで、14万8363キロリットルと前年比86・9%に落ち込んだ。出荷量数も12万297キロリットルと前年比の98%にとどまっている。そんな中で黒糖は7031キロリットルと前年比99・4%とほぼ同量を生産し、出荷量数は7205キロリットルと前年より6%増えている。この要因について県酒造組合の中玉利豊専務理事は「県外で盛んにPRイベントを地道に続けるなど、各社の企業努力が実を結んだ」と話していた。焼酎全体の出荷量数は2年連続で宮崎を下回っており、「首都圏以北ではまだ本格焼酎を飲んだことがないという人も多い。少ないパイを奪い合うのではなく、需要の拡大が必要」と言う。戎室長は「品質の多様化が進み、技術も高くて優劣をつけるのが難しいほど質は上がっているので、鹿児島の焼酎の良さをもっと多くの人に知ってもらう地道な努力が必要」と提言していた。

 審査結果の発表は2月10日、同市の城山観光ホテルであり、優秀な製造場、杜氏が表彰される。