宇検村で群島かんきつ振興大会

タンカンのほ場を現地視察した生産者ら

170122奄美群島かんきつ振興大会
中晩柑品種の高品質果実の安定生産など、産地化づくりを確認した奄美群島かんきつ振興大会

高品質果実の安定生産へ
市町村越えた産地づくり提案

 2016年度奄美群島かんきつ振興大会が22日、宇検村の元気の出る館であった。地域への提案として、中晩柑類の「津之輝=つのかがやき=」栽培による産地づくりを紹介したほか、ミカンコミバエ種群の防除対策、今後の取り組みなどを解説。食の安全など消費者ニーズの多様化に対応し、高品質果実の安定生産や有利販売の展開に向け、関係者一丸となって取り組むことを確認した。

 同大会は奄美群島農政推進協議会主催。柑橘=かんきつ=類の銘柄確立や生産者組織の充実・強化を目的に開かれ、生産農家やJA、行政など関係者約180人が参加。大会前には同村の果樹園で現地視察も行った。

 県大島支庁農政普及課技術普及係の中村一英係長は、地域への提案として「『奄美つのかがやき』栽培による新たなかんきつ産地づくり」を発表した。露地栽培で年内出荷でき、タンカンとの労力分散が可能な奄美大島における津之輝の優位性を挙げ、幼木からの防風対策や収穫後の予措期間設置などをアドバイス。栽培上の課題として、①適正着果量②摘果方法③施肥方法④幼木時期の仕立て方法―を実証実験し、高品質果実の安定生産に努めるほか、かいよう病の防除体系などに取り組む方針を示した。

 販売戦略として、生産量が少ない期間は地元での販売による知名度アップを図りながら、光センサーの活用による贈答用高級品を販売。島外での継続的な販路活動やタンカン取引業者への売り込みを並行し、「タンカンと並ぶ経営の柱にしたい」と強調。今後の産地づくりとして、人材の確保・育成と農地の確保を挙げ、「市町村を越え、奄美大島全体としての取り組みが必要だ」と述べた。

 同課特殊病害虫係の原洋一係長は、ミカンコミバエ種群の防除対策と今後の取り組みについて情勢報告。侵入警戒調査や初動対応など対応マニュアルを策定し、平常時から関係機関の情報共有や連携により、ミバエ侵入時に早期の防除対策が可能な体制を紹介した。

 このほか、6次産業化への取り組みや生産者と消費者の視点の相違について基調講演を実施。タンカンをはじめとする、中晩柑類の高品質果実生産による銘柄確立と有利販売の展開に向け、「新たな中晩柑品種『津之輝』の栽培管理技術の確立と産地拡大を進め、果樹経営の安定を図る」など4項目の大会宣言を採択した。

 大会会場には中晩柑品種や加工品などの展示コーナーが設けられたほか、優秀農家、タンカン振興功労者の表彰もあった。

 被表彰者は次の通り。(敬称略)
 ▽優秀農家=西田昭仁(奄美市)▽タンカン振興功労者=屋宮史芳(宇検村)