自主的に世界自然遺産勉強会

徳之島建設業協会の自主計画であった世界自然遺産登録勉強会=4日、徳之島町

徳之島建設業協会
専門家、固有種多さなど解説
「地元知る」地元業者が主導権を

 【徳之島】徳之島建設業協会(酒匂源宝会長、67事業所)が呼びかけた初の世界自然遺産登録勉強会が4日、同島建設会館(徳之島町亀津)であった。鹿児島大学大学院理工学研究科准教授(植物学担当、理学博士)の宮本旬子氏が「徳之島の生物多様性~あなたの隣にすむ希少生物との付き合い方~」で講演し、NPO法人徳之島虹の会の美延睦美事務局長が事例発表した。

 国の中央環境審議会が奄美群島国立公園の指定を答申し今春にも決定(告示)されるのに続き、今月1日には政府が「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島世界自然遺産」の推薦書をユネスコへ正式に提出。こうした中で「建設業界も島の貴重な動植物を勉強。各現場で注意喚起し、環境にやさしい施工に努め、自然保護活動に少しでも貢献を」と計画。会員事業所に県行政など関係者ら約100人が参加した。

 同世界自然遺産候補地科学委員でもある宮本氏は、国立公園指定と世界自然遺産登録を目指す島の「暖温帯林」と「亜熱帯多雨林」が育む固有種と絶滅危惧種の多さ、生物多様性の重要性など解説。特に、世界自然遺産に推薦された地域は、「林齢が高く希少動植物がたくさんすんでいる。ここだけの固有種が全滅すると、世界中から永遠にいなくなる。絶滅危惧種も、数や生息域が狭く、人間が枯らしたり殺したりすると世界から永遠に消えてしまう」。

 外来生物を保護区などに持ち込まない気配りと併せて「緑化用の植栽種苗は地産地消(在来種)がよい」。地元の環境整備(工事)には「地元をよく知る地元業者が主導権を握ることが重要。地産地消の〝徳之島メソッド(方式)〟をつくり上げることが地元にメリットがある」とも強調した。

 美延さんは、虹の会の自然保護看視環境保全、啓発活動などの取り組みも紹介。工事関係者によると見られる山林内への生コンクリート不法投棄や、工事現場小屋・事務所沿いの草むらにポイ捨てされた空き缶など大量のごみも写真で告発。希少植物の盗採やアマミノクロウサギの交通事故死の現状も報告した。

 その上で、建設業界に対して「時代は変わって、世界中が環境保全に取り組む時代に。環境に配慮した工事ができる業者、環境型技術や知識を取得している業者、従業員のマナー教育ができている業者―が優先される。島の業者に儲かって欲しい」とも呼び掛けた。