「行ってみたい!徳之島」シンポ

パネルディスカッションで活発な議論を交わすパネリストたち。左が松田智生さん、その右隣が大久保明町長

サブ会場
ユニット・すももブの会場でモニターからの様子を真剣に見つめる参加者たち

出席者にシマ唄を披露し、徳之島の風を送ったユニット・すもも(指宿桃子さん、伊成実さん)

「島とヨソモノ起こす相乗効果」
首都圏の移住希望者が出席

 【東京】首都圏の移住希望者を対象とした「『行ってみたい!徳之島』シンポジウムIN東京」が12日、中野区の中野サンプラザで開催された。徳之島にゆかりのある人たちや、島に興味を持つ幅広い世代、200人以上が参加。活発な議論が行われ、地元への提案が寄せられた。開場前には、多くの種類の黒糖焼酎が用意され、その味わいを知ってもらおうと無料で振る舞われた。

 「伊仙町における地方創生」と銘打たれたシンポ。開会あいさつに続いて、大久保明伊仙町長は「関西ブロードバンドの子会社として、徳之島ビジョンが2011年に徳之島島内における光インターネットサービスをスタートさせ、現在従業員10人を雇用している」などと、伊仙町の紹介と取り組みを説明した。

 続いて「行ってきたよ!徳之島」のコーナーでは、島を訪れた実体験を基にフリーライター・土屋季之さん、東大文学部の中村芳雅さんら3人が発表。昨年の夏、就業体験(インターンシップ)をきっかけに2週間徳之島に滞在した立教大の相田夏紀さんは、ウミガメが砂浜に産卵、孵化を経て子ガメが地上に出て再び海に向かう、その様子に感動したという。

 また、徳之島の中でも伊仙町は空も広く、時間もゆっくり流れていると実感。相田さんは、伊仙町の魅力を「(い)のちが生まれる場所、(せ)まい視野を広くする場所、あ(ん)しんを与えてくれる場所」と頭文字に沿って伝えると、盛んな拍手を浴びていた。徳之島徳洲会病院・藤田安彦院長は「東京では、救急車で搬送されても2時間待つこともある」との都会の医療の現状を引き合いに、「ドクターヘリなどで万全の態勢で対応している」と「安心して暮らせる島」を強調した。

 後半は、三菱総研主席研究員の松田智生さんをモデレーター(司会者)として、「徳之島の魅力・課題・未来」をテーマにパネルディスカッション。大久保町長、藤田院長のほか、芝浦工大・佐藤宏亮准教授、丸の内プラチナ大学受講生の木村健人さん、中村昌子さん、伊仙町未来創生課・松岡由紀さんが参加。「アマミノクロウサギは増えていて、うまくいっている」「いきなりの移住は難しいので、いかに交流人口を増やすかがポイント」などが挙がった。

 松田さんは「地元の人が自分の町の強みを言えるのが重要だ」と語り、「島とヨソモノが起こす相乗効果」「逆参勤交代制度」などの提案をまとめた。

 前後半をはさみ、ユニット・すももによるシマ唄ライブも。指宿桃子さん、伊成実さんが出席者のもとに島の風を届けていた。

 このほか、徳之島ビジョンの三須久代表取締役が「そうだ!徳之島で働こう!」と力説した。この日の参加者には、バレイショ(春一番)と純黒糖がお土産として渡され、一足早い春を満足そうに感じながら、会場を後にしていた。