「自然と人の架け橋に」

参加者にガイドの役割を説明する安類講師

エコツー推進アドバイザー派遣講演会
ガイド連協

奄美大島エコツアーガイド連絡協議会主催の環境省「エコツーリズム推進アドバイザー派遣事業」講演会『ガイドの求められる役割とは?~尾瀬認定ガイドと考える~』は3日、奄美市名瀬のAiAiひろばで開かれた。講演会には、協議会に登録しているガイドや研修生など26人が参加。講師をNPO法人片品・山と森の学校副代表で尾瀬ガイド協会専務理事の安類智仁氏が務めた。

講演では、日本の自然保護運動の発祥地である尾瀬の認定ガイドの実情や、尾瀬の自然などがスライド発表で紹介された。そして今月7日に国立公園指定決定を受ける奄美群島のガイドたちに、「認定後の技術向上や自然の保護と利用のバランスを取ることが重要」と述べた。

尾瀬は、国内の全植物の25%が観察できる湿原で固有種の宝庫であり、認定ガイドとして246人がガイド協会に登録。協会はガイドの登録料(年1万円)で運営され、2016年には登山者の27%が認定ガイドを利用している状況を説明。尾瀬認定ガイドの合格率は約7割で、認定後の研修プログラムが重視され、認定ガイドは何らかの団体に所属することになる。

尾瀬のガイドについて、外からの人がガイドになっていて、ガイドを利用する登山者は中高年層がほとんどと説明。外国からのインバウンドでの利用はあまり無いとの報告がなされた。

安類さんは自然遺産の利用と保全の仕組みづくりについて、「エコツアーの対象となる自然をしっかり理解し適切に利用する」ことの重要性を訴えた。また国立公園指定になる奄美群島の自然に対して分かりやすい禁止事項の作成や「ゾーニング(地種区分)を利用の面から考えてみては」などと提言した。

講演の最後に、ガイドが環境保全に貢献できることとして、フィールドの特性・特徴の把握や悪しき変化の兆候の察知を挙げ「エコツアーガイドが、地域の自然と人との架け橋として活躍することを期待する」と語った。

その後、アンケートで回収された質問の質疑応答も。尾瀬のガイドの閑散期の様子やクレーム対応、奄美と尾瀬のエコツアーガイドについての相違点などの質問があった。