動物愛護講演会

受講者がリードの持ち方を実演

犬猫の適正飼養啓発
家族の一員から「社会の一員」へ

県保健福祉部生活衛生課主催の環境省「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」2016年度モデル事業・動物愛護講演会「飼い猫・犬との暮らしを楽しむ方法」が4日、奄美市名瀬の奄美博物館で開かれた。犬猫の適正飼養についての啓発や、犬や猫の習性と飼い主も楽しく幸せになれるポイントについての講演が行われた。

講師を日本獣医生命科学大学獣医学部の水越美奈准教授が務めた。水越准教授は、日本では数少ない獣医行動診療科認定医の一人で、動物の問題行動についても治療できる獣医。

この日はペットを自分で飼っている住民など21人が、講演会に参加し受講した。

講演では飼い主が守るルールや、犬と猫の習性などについて説明。室内で飼う時の注意事項や問題行動の対処法なども紹介。犬の散歩時のリードの持ち方の実演も。しつけと褒めることの重要性を指摘。「猫を室内で飼う場合でも所有者明示のために名札とマイクロチップが必須」と述べた。

ノネコの問題もある奄美での猫の飼い方について、野良猫の寿命が5年以下であることや野良猫が6カ月齢までに75%は病気や交通事故等で死んでしまうことから室内飼いを推奨。「犬に比べて外で保護されても、返還率が極めて低いのでマイクロチップの装着が有効である」とした。

犬の飼い方については、群れて仲間と生活する犬の習性から「しつける時にわかりやすく教える」「飼い主との間に信頼関係を築くことが大事」と説明。散歩が犬の生活にとって大切な習慣とし、散歩時に犬に引っ張られないようにする工夫などを教示した。水越准教授は「犬と遊ぶ時は、素手で遊ばずおもちゃを用いて褒めたりしながら犬の自制心を育てるように取り組んでもらいたい」と語った。

講演の最後に「しつけに学習の法則を活用すること」や飼い主が守るべきルールとして、▽飼い主がペットとの生活を楽しむ▽ペットが幸せなこと▽周囲の人に迷惑をかけないこと―を提示。「これを守ることでペットは家族の一員から社会の一員へとなる」と締め括った。

その後、質疑応答が行われ、犬の散歩の時間や猫のお風呂の入れ方や、室内でのマーキングなどの質問も。マーキングについては「去勢や避妊手術が有効」との回答がなされた。