自民党合同勉強会

合同勉強会を行った奄美振興特別委員会であいさつする保岡興治委員長。右端は小野寺浩理事長=自民党本部で

自然保護と地域振興両方で
小野寺氏講演 世界遺産長距離歩道など提言
「地元主体となり全体像を」

【東京】自民党奄美振興特別委員会(保岡興治委員長、金子万寿夫事務局長)・世界自然遺産を活かした南西諸島活性化議員連盟(西銘恒三郎会長)合同勉強会が9日、党本部で開かれ、7日に官報告示で34番目の国立公園に指定された奄美群島国立公園の考え方や施設メニュー、ソフト施策などについて、小野寺浩屋久島環境文化財団理事長が講演。「生活との濃密な関係を持つ特殊な国立公園をどう説いていくか、地元が中心となり、世界自然遺産大使のような有名人リストなど、未来に向かってやって欲しい」などと話した。

あいさつにたった保岡委員長は「2年後の奄振法の改正や琉球・奄美の世界自然遺産登録をにらんで、増額した交付金が満額確保できた。奄美ビジョンとなるアクションプランが奄美振興の新たな決意となっている。世界自然遺産登録は沖縄と奄美を海でつなぐ構想をもち、新たに、沖縄・鹿児島との連携も」と訴えた。

合同勉強会で、「新しい風景 新しい世界遺産 国立公園」のサブタイトルで奄美国立公園の考え方を小野寺浩同理事長が説き、「奄美は戦後パルプ伐採などが進んだにも関わらず固有種や絶滅危惧種がしぶとく生き残っているドラマチックで、生態系が複雑な水系の中にはモザイク的に特殊な生き物がいる。それらが人間の生活と濃密な関係を持つ、そういう奄美が国立公園となった」と話し、世界自然遺産についての地域づくりを自然保護と地域振興の両方で、「地元の人たちが自分たちの経済につながっていくとの考えで」とも呼び掛けた。

また、▽蝶が多いことからガイド付き樹上木道▽自然映像情報館(写真家・浜田太さんのアマミノクロウサギなど)▽5島世界遺産長距離歩道▽森林再生市民参加事業▽里のエコツアー▽南方文化研究所▽80歳以上世界遺産推進員委嘱(ヒアリングして、冊子にする)―などの施策メニューの紹介。さらにソフト施策として各自治体の事業・施設を集積させ、地元が主体となって全体像を描くことや、自然遺産国内5知事会合、アジア自然遺産専門家会議のイベントの提案など具体的なアイデアを披露した。

参加した委員からは「地元の生活者がガイドしたり、沖縄観光大使のように地元だけでなく都会の人にも委嘱して、観光客の数を求めず、質を求める感覚で持続可能なことにチャレンジして欲しい」との声もあった。