洋上救急訓練

「2016年度奄美・古仁屋地区洋上救急慣熟訓練」があり、陸地の病院に搬送するまでの応急処置などを確認した

協力機関関係者ら参加
航行中での応急処置確認
奄美海保

奄美海上保安部(佐藤至部長)は17日、同部会議室と名瀬港周辺海域で「2016年度奄美・古仁屋地区洋上救急慣熟訓練」を関係機関と実施した。洋上で発生した傷病者に対し、医師による緊急の加療が必要となる場合の応急手当などの対応を確認。巡視船・かいもんを進ませながら、船内でも訓練が行われ、船体揺れなどの状況下、比較的狭い場所での救護処置を確認した。

洋上救急とは、洋上の船舶上で傷病者が発生し、医師の緊急加療を要する際に、医師などを海上保安庁の巡視船・ヘリコプターなどで急送し、これらに引き取られた患者に対し加療を加えつつ、陸上の病院へ搬送するシステム。公益社団法人日本水難救済会が事業運営し、全国10カ所に同会洋上救急センター支部を設置。海上保安機関と連携して、各地の協力医療機関から医師を派遣する。奄美大島島内では県立大島病院と瀬戸内町へき地診療所が、協力機関となっている。

訓練には、海上保安官、消防職員、医師や看護師など25人が参加。洋上救急に関する対応状況など概要説明が行われ、奄美海上保安部も属する第十管区海上保安本部での16年度の洋上救急発生件数(1月31日現在)は2件、傷病者は2人だった。

グループ実習では、救命士らが応急処置を解説。ろっ骨等の骨折などが疑われる場合の呼吸補助の手当て、内臓器官が体外に飛び出した場合、利器などが体に刺さった場合や脊髄損傷が疑われる場合の対応法などを確認した。

同保安部巡視船あまぎ・潜水士の中野大志さん(24)は「外傷のない洋上救急を経験しているが、訓練を行いながら改めて確認できた。今後に生かしていきたい」と話した。

午後からは、巡視船・かいもん船内で訓練を行い、海上を航行した状態での傷病者への応急処置などを確認した。