オオトラツグミさえずり調査

さえずりでオオトラツグミの個体数を調査(写真は金作原原生林内)

54羽確認 野鳥の会学生ボランティア年々増加

奄美大島にのみ生息し、国の天然記念物に指定されている野鳥オオトラツグミのさえずり一斉調査が19日早朝、同島を縦断する奄美中央林道であった。同林道でのさえずり数は54羽だった。NPO法人・奄美野鳥の会(会員約350人)の鳥飼久裕会長は「学生のボランティア参加も年々増えている。自然保護の機運が今後も高まってくれたら」と語った。

生息環境の悪化などによる個体数の減少が深刻化したことから、同鳥は環境省のレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類に指定。同会は、生息数把握と保護を呼びかけるため、1994年から調査を行っている。

一斉調査が行われた奄美中央林道では、奄美市の名瀬・住用地区の7ルート(里、金作原、川神、スタルマタ、赤土山、神屋)に分かれ、2㌔ごとに配置された調査員が2人1組で歩きながら記録した。

この日は島内外からボランティア180人(そのうち学生約80人)が参加。金作原班では午前5時45分ごろからさえずりを確認。コースを往復しながら、「キュロロン ツリィー」という特有の鳴き声を確認すると、地図上に時間と方角を記入した。

調査を開始以来、過去最高数を確認した昨年の106羽から、今回半数となった結果に同会は、雨天時の調査で観察数が減った可能性を指摘。その上で鳥飼会長は「調査員から鳴き声が近くで聞こえたとの報告も多く、オオトラツグミの生息環境は整いつつあると考えている」との見解を示した。

鹿児島出身で酪農学園大学=北海道=2年生の里山智紗慧さんは2度目の参加。「奄美の深い自然にすむ、野鳥がこれからも残ってほしい」と話した。