地元市場搬入量初の400㌧超

 豊作で地元市場・名瀬中央青果㈱のタンカン取扱量は初めて400㌧を超えた(市場の競り場を埋め尽くす規模にも)=提供写真=

タンカン 豊作、生産者の出荷集中
平均単価は終盤持直す

 奄美大島の果樹農業の柱・タンカンは、果樹・果菜類の害虫ミカンコミバエ緊急防除解除で2年ぶりに島外出荷されたが、豊作により地元市場・名瀬中央青果㈱(福山治社長)への持ち込みが急増、初めて搬入総量が400㌧を超えた。生産者からの出荷の集中で値崩れ、平均価格が大幅に低下したが、終盤に入り持ち直し。タンカンの入荷は4月に入っても続いている。

 今期のタンカンの同青果への持ち込みが始まったのは1月下旬で日量約200㌔だった。日量のピークは2月23日の約20㌧。競り場は連日、大量の果実であふれ、野菜などタンカン以外の品目は隅の方に置かれるほどに。仲買人が競り落とし小売店で販売されているが、供給量に需要が追いつかず市場価格が急落。キロ当たり価格の平均が30円(底値)となることも。この頃は高値でも100円に達しなかったという。市場側が30円で競りを止める事態となった。

 市場価格の落ち込みは小売店での販売に影響。例年なら5㌔の場合2500円程度で販売されているが、安売り合戦で300円台まで下がることも。その後も価格の低迷は続き、平均価格が100円を超えたのは3月下旬になってから。持ち込みは4月に入っても続き、10日までの総量は423㌧に達した。

 4月に入ってからの日量は1㌧程度。今の時期に地元市場で取り扱っている柑橘類は日向夏や清見オレンジと少なく、美味しさではタンカンの方が上回るとされている。そのため平均価格は100~150円で推移、高値では200円台をつけるタンカンも出ているという。

 同青果への搬入量の急増は、ミカンコミバエ問題を受けて早期に果実の廃棄措置がとられたことで樹勢が回復、収穫期の鳥害もなく例年以上に生産量が増加したため。公設の市場であり、地元の生産者の持ち込みは自由。共販利用のJA組合員、独自の販売ルート(個販)を持つ大規模農家以外の生産者にとって貴重な出荷先となっている。それが豊作に伴う量の集中につながったが、果実の見た目や傷みの状況から持ち込まれたものの競りを見送り、引き取ってもらうこともあったという。

 同青果の2016年度のタンカン取扱は現在も続いているが、4月12日現在の平均価格は109円。ミカンコミバエ問題があった15年度を除き、最近の推移をみると14年度260㌧(搬入総量)・325円(キロ当たり平均価格)、13年度293㌧(同)・187円(同)、12年度266㌧(同)・281円(同)、11年度137㌧(同)・528円(同)。300㌧超の344㌧の量が集まった08年度は今期に近い115円まで平均価格が下がっている。

 量が増加すると市場価格は下がるだけに、高品質の柑橘づくりと同時に島外出荷の安定に向けた販路の開拓、また加工品の商品開発も課題となりそう。