20年ぶりに田植え復活

市集落で20年ぶりに田植えが復活

住用町市・子ども達も参加
植え方、高齢者が指導

 「市=いち=に田んぼ復活させよう会」(中村由美会長)は16日、奄美市住用町市で田植えを行った。保育園児や市小中学校の児童たち、保護者、集落住民など約30人が参加。子どもたちは、かつて稲作を行っていた高齢者から苗の植え方を教わり、約4㌃の田んぼにうるち米の苗などが植えられて市集落に田んぼが復活した。

 同会の中村隼人さんによると、3年ほど前から子どもたちのために「田んぼを復活させて、子どもたちに田植えから稲刈りして自分の食べる米になるまでを体験させたい」と考えていたという。中村さんは田んぼの土地を貸してくれる人を探し、同集落の森温子さんが昨年の暮れに自身が所有する土地の使用を承諾。中村さんは、集落内の有志で今年2月に同会を立ち上げて、荒れた畑地を草刈り、耕運、畦道への泥上げなどの作業を行い、今回の田植え作業に備えた。

 集落の高齢者たちによると市集落(93世帯・134人、2017年3月末現在)では20年前まで、稲作は行われていたという。高齢化や人口流出で若手不足になり、稲作が絶えて田んぼは放置され荒地化が進んでいた。

 今回、4枚の田んぼに龍郷町秋名集落からもらったうるち米、もち米の苗と、同市芦花部集落提供の黒米の苗を田植え。子どもたちは、地域住民と保護者と列になって、薄曇りの中、泥に足を取られながら一生懸命に苗を植えた。休憩の時には、田植え作業を見守っていた住民の一部が、田んぼ復活を喜んで歌い踊り出す場面も見られた。

 この後、苗の根生えを確認し追肥して生育を見守り、8月半ば頃に稲刈り作業を予定。中村さんは収穫を心待ちにして、「もち米は豊年祭などに使いたい」と話した。中村会長は今回の田植えについて、「いろんな方の協力でここまで来られた。子どもたちの食育にもつながる」と田んぼ復活の意義を語った。