島尾敏雄生誕100年

18日、島尾敏雄の生誕100年を迎えた。7月に記念催事を各地で開く(久保井副理事長、潤井理事長、島尾伸三さん=写真左から=)

映画上映、講演など記念催事
7月7日から3日間

 奄美にゆかりのある作家、島尾敏雄(1917~86年)の生誕から18日で、100年を迎えた。7月には、映画化もされた代表作「死の棘」の上映会、同作品監督の小栗康平さんを迎えた講演会など「島尾敏雄生誕100年記念祭」を奄美市と瀬戸内町で開く予定。実行委員会を組織するNPO法人島尾敏雄顕彰会(潤井文子理事長)会員と子息の島尾伸三さんが同日、概要告知のため奄美新聞社を訪れた。

 記念催事は、7月7日から3日間行われ、7日は、島尾の妻で作家のミホさんの代表作「海辺の生と死」の映画(脚本・監督、越川道夫)を奄美文化センターで上映。8日は、2人が出会った加計呂麻島のゆかりの場所を巡るバスツアーが企画され、ミホさんの故郷の押角や、2人が逢瀬で足を運んでいた海岸線などを散策する。

 また、同日は加計呂麻展示・体験交流館で映画「死の棘」上映会と、小栗監督の講演会を開催。翌9日は、ミホさんの人物像に迫り、評伝「狂う人」を書いた、作家梯久美子さんの講演会、「島尾敏雄と奄美」を演題にしたシンポジウムを県立奄美図書館で開く。

 16日に、大阪で開かれた「関西押角校区会」に出席後、来島したという島尾伸三さんは「奄美の子どもたちにも、文学に対する情熱を感じる。母が書いた島の物語は小中学生に伝わるものだと思う。読むきっかけにもなれば」と話した。

 顕彰会の潤井理事長は「入りにくい部分もあるが、作品から奄美のありかた、島の暮らしが見えてくる。今に生かせることも書かれている。これを機に読んでもらいたい。文学という一面だけでなく、郷土への興味にもつながってほしい」と呼びかけた。

 同記念祭は、県の「明治維新150周年かごしま文化力向上提案事業」助成金が活用される。実行委員会では、広く寄付を募っている。寄付に関する問い合わせなどTEL090―9582―7833(島尾敏雄生誕100周年記念事業実行委員会事務局・浜田さん)。