大観衆を前に堂々の国歌独唱、奄美の風を吹かせた城南海さん
バックスクリーンのオーロラビジョンで紹介される、城南海さん
「みなみちゃーん頑張って!」、城南海さんの晴れの大舞台を応援する熱心なファンたち
【東京】プロ野球のヤクルト対巨人戦を前にした神宮球場で28日、奄美出身の歌手・城南海さんが、母親らが見守る中、国歌を独唱。2009年にデビュー以来初の体験、堂々の大役を果たした。「神宮の杜に届いた奄美の風に」詰めかけた大観衆は、大きな拍手を送っていた。
鮮やかな紅型の着物に身を包んだ城さんは、ホームベース後方に用意された赤いカーペットに、やや緊張した表情ながら、確かな足取りで進む。試合を前にした独特の雰囲気の中、バックスクリーンに向かって国歌がマイクを通して流れた。
奄美をほうふつさせるハイビスカスがあしらわれた髪飾りと帯。両手を丹田に気合いを入れるように添えての、わずか〝1分15秒のライブ〟。そののびやかで透き通った声は、約2万8千人の大観衆を一瞬にして魅了、ライブ会場の観客に変えた。「うまいなあ」の声がスタンドから飛ぶ。激戦のペナントを争うヤクルトと巨人の選手たちも神妙な面持ちから一転、盛んな拍手に。
城さんは、「こんなに多くの人の前で、しかも初めての国歌独唱に足もガクガクで、とても緊張しました」と満面 の笑顔で振り返った。「奄美出身ということでハイビスカスの帯にしてもらい、奄美の風も送ることができたと思います」。
そんな彼女を後押ししたのが、この日駆け付けた熱心なファンたち。バックネット裏からは、「みなみちゃ~ん」の声が飛んでいた。「着物での所作や歩き方を指導されていましたので、振り返って手を振ることはできませんでしたが、パワーを頂きました。大きな声援と気持ちが伝わってありがたかった」そうだ。デビュー以来ファンの遠藤淳さんは、この一瞬のために京都から駆け付け、「最後ののぞみで東京駅から帰ります。最高でした」と感激していた。独唱を終えた彼女が、控室に戻るほんの2分間で「ありがとうございます」は、6回も繰り返されていた。
「ちゃんと野球を見たことがなかった」城さんは、前日に高校野球の東京都大会(早実対日大三)の決勝を観戦。「試合を見て野球に対する皆さんの熱さを知って、実感がわいた」という。「THE★カラオケバトル(テレビ東京系)」になぞらえて採点を聞かれ、「97点」と辛口の自己評価。同番組での平均得点は99点を超えているだけに、満点は「日本シリーズでも歌いたい」(城さん)と、次の舞台で披露されるに違いない。この夏には約3年ぶりのシングルのリリースが決定。6月4日からは「城南海 ウタアシビ2017夏」として、全国ツアーが始まる。