森山さん(三味線教室)自費出版

奄美市名瀬で三味線教室を開いている森山さんが、78曲の島唄について調べてまとめた島唄集を自費出版した

「島唄の深さ知って」
78曲、解説・写真も添付

奄美市名瀬で教室を開き、三味線、島唄の指導を行っている森山博勝さん(66)は、島唄を紹介する『しま唄のふるさとを訪ねて』をこのほど自費出版した。本では、唄の題材にもなった風景写真なども織り交ぜながら、全78曲を紹介。森山さんは「島唄は奄美の人たちの心の拠り所。唄の深さを知ってもらい、これからも途切れず島唄が伝わってほしい」と話している。

森山さんは、大和村今里の出身。唄者に師事し、島唄と三味線を習った後、2012年に自身の教室を開講。これまで、教えた生徒は、約150人になる。

教室を開き、指導していたある日、宇検村の芦検地区に伝わる「きんかぶ節」で唄われる「きんかぶ」のことを生徒から聞かれ、答えることができなかった。「それまで何気なく唄っていたが、自身も知りたくなった」。地元住民、唄者など様々な人を訪ねたり、専門家の協力も得ながら、約2年かけてキキョウ科の「タンゲブ」であることが分かった。

このことをきっかけに、(加計呂麻・請・与路島を含む)奄美大島をはじめ、喜界島、徳之島で唄われる他の曲についても調べ始めた。関係者らを訪ね、唄に出てくる言葉の意味から、歴史、唄の由来などをまとめていった。

ときには同じ地域に、何度も足を運ぶこともあった。最近では、徳之島で唄われている「くるだんど節」に関し、約1年かけ唄の背景、内容について探った。

本では一曲一曲、唄の歌詞と意味をはじめ、曲にまつわる解説や写真を加えてある。「執念で作った1冊」と自他ともに認める。森山さんは「調べながらいろいろなことを知ることができた。教えるためには、自身も学ばないといけないことを改めて感じた。これからも生徒と一緒に島唄を勉強していきたい」と話した。

本は、自身の生徒用の教材に使われるほか、大和村中央公民館などに寄贈した。A4版・カラー154ページ。森山さん(TEL090―5932―1426)。