愛郷心の一助に

著書「自然が育む 長寿と希少動物の楽園」

義山彰宏さん

伊仙町出身義山彰宏さん『自然が育む 長寿と希少動物の楽園』発行
教本的に仕上げる

【徳之島】伊仙町出身で県内公立中校長や県立博物館学芸指導員などを務めた義山彰宏さん(82)=鹿児島市在住=が、奄美群島国立公園指定に続く世界自然遺産登録に向けた〝足元の価値〟の再認識も願い、このほど『自然が育む 長寿と希少動物の楽園』を著した。  全国的にも珍しい変化に富んだ徳之島の地質、アマミノクロウサギの長寿性を立証した1980年代にかけた大和村大和中における先駆的な同飼育・観察の思い出なども紹介。著書を「島の良さを知って、愛郷心豊かな人間形成の一助に」と位置付けている。 義山さんは、中学校長を経て県立博物館学芸指導員や環境省環境カウンセラー、県環境学習アドバイザー、県地球温暖化防止活動インストラクターなども歴任。著書に、地質・気象・植物・昆虫・貝類などを調査研究し報告した「徳之島の自然」(初版73年)、「奄美群島の自然」(85年、文部省研究費助成)自生植物の方言を調べた「徳之島の路傍300種」(88年)などがある。 今月発行の「自然が育む 長寿と希少動物の楽園」(B5判・34㌻)は、①徳之島の地質について(長寿世界一・子宝日本一)②徳之島の伝承唄と郷愁歌「新殿地の数え歌」「意見口説」「あゝ故郷想てぃ」③特別天然記念物アマミノクロウサギ―の3章で構成。大きな文字に写真資料なども交え、児童たちにも分かりやすく教本的に仕上げている。 徳之島島内をくまなく観察・採集した岩石関係では、火成岩や堆積岩、変成岩などがあり、また鉱物では水晶・方解石・千枚岩などが〝地質標本〟的に分布することをあらためて紹介。先駆者の視点から伊仙、天城両町誌にも執筆し「種類の豊富さは日本全国的にも珍しい」ことを強調。そしてその地質から湧き出す水が〝長寿の一因〟との他学説の報道にも言及。 大和中勤務(77年~82年)当時は、大和小・中の児童生徒らと一体となった世界初のクロウサギの飼育・観察の模様や、「最長18年の長寿性の立証」(当時の新聞資料)なども紹介している。 義山さんは「自分たちの島の世界的な価値を分かって誇りを持って欲しい。この冊子が愛郷心豊かな人間形成の一助になれば」と話した。 問い合わせは義山さんTEL099-281-3605。