愛加那のかんざし特別展示

特別展示されている愛加那のギハ(かんざし)

愛加那のギハ

 

龍郷町「りゅうがく館」
来館呼び掛け「西郷との歴史感じて」

龍郷町生涯学習センター「りゅうがく館」は、西郷隆盛が妻の愛加那に贈ったとされるギハ(かんざし)の特別展示を同館2階の文化財展示室「奄美・龍郷 島ミュージアム」でスタートさせた。同館は多くの人に見てもらいたいと呼び掛けている。特別展示は30日まで開催している。

同町の龍郷集落は、幕末の安政の大獄で京都から薩摩藩に逃れ錦江湾に入水自殺を図った西郷隆盛が、蘇生して「菊池源吾」と名を変えて幕府の追及をかわすために潜居した地。西郷は安政六(1859)年から約3年間、暮らして地元の有力者・龍家の娘愛加那と三献で挙式し、長男の菊次郎と長女菊草が生まれたとされている。

ギハは、愛加那の遠縁の奄美市名瀬の牧雅彦さんが寄託。牧さんによると、西郷が奄美から薩摩に帰り、職人に作らせて愛加那に贈ったという。

ギハは銀製とされ、長さ約29㌢、重さ約40㌘。ギハの先端は本来護身用に尖らせてあり、反対側はびん付け油をすくえるように丸くお椀状になっている。

愛加那のギハは、牧さんの母方の曾祖母が愛加那のめいで、愛加那の世話をしていて形見として譲り受けたという。ギハは代々引き継がれて、牧さんが現在保管している。

同館学芸員の川元美咲さんは、ギハの特別展示について多くの人に見てもらい「西郷さんと愛加那さんの歴史を体験してほしい」と語った。また、来年の大河ドラマ「西郷=せご=どん」に関連して、町企画観光課と町教委で連携し西郷塾や志學館大学の原口泉教授などの協力で特別企画展も予定されている。