市民後見人養成、法人後見化も

市民後見人養成講座の「受講生募集」チラシ

あまみセンター目指す
地域で支える身近な存在
受講生を募集中

NPO法人あまみ成年後見センター(勝村克彦理事長)は、講座の開講で市民後見人を養成するとともに、組織化により活動の継続が可能になるとして法人後見の受託を目指している。共に地域で暮らしながら支える身近な存在が市民後見人。今年度で3回目となる養成講座は6月24日からスタートする。現在、受講生を募集中だ。

成年後見制度は、認知症高齢者や障がい者の増加で必要性が一層高まり、その需要はさらに増すと見込まれている。判断能力が十分でない人に代わって、福祉サービス契約や財産管理などの支援をするのが後見人。

同センターによると、奄美群島における成年後見制度の利用必要者数(2015年12月推計)は163人。これに対し、奄美での後見人数は約100人で、このうち80人強が親族後見人、弁護士や司法書士、社会福祉士等の専門職である第三者後見人は20人弱にとどまる。専門知識がある第三者後見人の方が適正な支援ができることから、「親族と第三者の後見人の割合は逆転が必要」とされている。

ところが奄美にいる専門職の数は約10人で、1人の専門職が可能な被後見人の人数は数人にすぎない。センターでは地域に居住し、身近で親身になって支援する「市民後見人の養成が急務」として、奄美市の協力のもと15年度から奄美初の市民後見人養成講座を開講、初年度は30人が修了した。16年度は43人が受講し、このうち27人が修了した。17年度までに養成講座修了者100人(3年間累計)を目標にしており、今年度も基礎編と実践編に分けて14回開講する。

養成講座の定員は基礎編40人、実践編20人。法制度の講義だけでなく、弁護士や司法書士も講師として参加し、家庭裁判所の見学や手続きの実践講習も行われる。市が補助しているため受講料は無料(ただしテキスト代として6千円程度は自費負担)。6月10日までが受講生募集期間だが、応募が低調なため、センターは「今後は地域の事情に詳しく、きめ細かな対応が期待できる市民後見人が注目されるようになる」として市民の関心の高まりを期待している。

この市民後見人養成と合わせて、センターが目指しているのが法人後見の受託。個人が家庭裁判所から選任されて成年後見人等になるのと同様に、法人(NPO法人、社協など)が成年後見人等になることができる。

あまみ成年後見センターで法人後見を受任すると、市民後見人養成講座修了生が、法人後見の支援員(実働)として活動可能。勝村理事長は「養成した市民後見人が法人の一員として専門職のサポートなどの活動をしていく。今年度中か来年度にも法人後見を目指したい。組織化されることで市民後見人の活動が継続される。認知症になっても、障がいがあっても、地域に根差す市民後見人がいるから大丈夫という地域社会を奄美で実現したい」と話す。

市民後見人養成講座の問い合わせ先は、同センターTEL080・1538・9014(担当・牧さん)まで。