「クロウサギ保全に活用して」

希少動物の保全活動に寄付したA&K社のルスさん(写真左)

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奄美市内の生徒がツアー客折り紙をプレゼントした

米国旅行会社 奄美の自然保護に寄付
「自然遺産にふさわしい環境」
クルーズ船ツアー客に折り紙プレゼントも

奄美の希少動物の保全活動に役立ててもらおうと、米国旅行会社Abecrombie&Kent(アバクロンビー&ケント)は4日、大和村にある環境省奄美野生生物保護センターを訪れ、現在クルーズ中のツアー代金の一部4050㌦(約44万円)を奄美自然体験推進協議会(事務局・大和村総務企画課)に寄付した。同協議会事務局長の郁島武生課長は「大変ありがたい。現在取り組む希少生物の保護のために使いたい」と喜びを表した。

同社は現在、日本や台湾、香港などアジア圏でクルーズ船ツアーを実施中。そのツアーでチャーターしたクルーズ船「ロストラル」(フランス船籍、約1万1千㌧)が同日、奄美市名瀬の名瀬港観光船バースに寄港。奄美大島島内オプショナルツアーの一環で訪問した同センターの見学に合わせ、寄付金贈呈セレモニーが開かれた。

セレモニーはツアー客13人、同社スタッフが参加。生物学者で、今回のツアーに専門ガイドとして同行している同社のアーロン・ルスさん(36)が寄付の目録を同協議会に手渡した。

同社関係者によると、寄付は社会貢献活動の一環。寄港国で自然環境保護に向けた寄付を行っており、今回のツアーでは奄美が唯一の対象という。

この日、金作原を訪れたルスさんは「奄美は多様で亜熱帯特有の自然環境が魅力的。世界自然遺産となる価値は十分整っている」と評価した上で、「(寄付は)希少生物のアマミノクロウサギの保全に活用してもらいたい」と語った。

なお寄付は同協議会が管理する「奄美野生生物保護基金」で受付。アマミノクロウサギの保全のほか、野生傷病鳥獣の救護やエサ代、取り組みの普及啓発などに活用する予定。

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今回、名瀬港に寄港したクルーズ船「ロストラル」のツアー客は約160人。多くは早朝から島内オプショナルツアーに参加。待機するバスやタクシーに乗り、マングローブ、金作原など奄美の観光を満喫した。

乗船口では、奄美市内の高校生、中学生が「アマミノクロウサギ」をイメージしたウサギの折り紙をプレゼント。ツアー客は手にした折り紙に「ありがとうございます」と笑顔で応えていた。

歓迎した生徒は、同市の中学生国際交流事業で米国ナカドゥチェス市に派遣された20人。留学経験を生かして、「グッドモーニング」など英語で話しかけて“おもてなし”。

金久中3年・有村知紗さんは「外国人観光客との交流活動をこれからも積極的に行いたい」と話した。

同船は夕方、同港内で歓送セレモニーを受け、次の寄港地・沖縄本島に向かった。