警察署署員に講演した三浦さん
奄美警察署で7日、少年非行防止研修会があった。同署署員約40人が参加し、講師から民間団体での取り組み事例や青少年の立ち直り支援活動の実際について理解を深めた。
講師を、NPO法人奄美青少年支援センター「ゆずり葉の郷」の三浦一広所長が担当。三浦さんは、「ゆずり葉の郷」で受け入れている子どもたちについて反社会的な青少年と非社会的な青少年に二分されるとした。
現在の同施設のスタッフ数は、11人。この体制で、年間3千件以上の青少年に関する相談に対応している。
三浦さんは消防署勤務時代に関わった不良少年の更生をきっかけに、青少年支援に30年以上も関与。2002年には、更生した少年たちで「青少年警護隊」を結成して01年にワーストだった旧名瀬市の青少年の犯罪件数を激減させた。
警護隊では、防犯パトロールと清掃作業を実施。三浦さんは、活動を通して参加した青少年に自尊感情が芽生えてきたと考察する。
問題行動には、自尊感情が重要と指摘。「彼らは、あまり人にほめられた経験がなかった」と三浦さん。
自身の活動を振り返り、「7~8割は更生がうまくいった」と実感。残りの2~3割は、「失敗だった」とし自身の力不足を感じたという。
講演の途中、鹿児島県の民放で特集された番組をDVDで視聴。「奄美の保護司 三浦一広さん」の題で、ゆずり葉の郷の取り組みやスタッフの研修の様子がまとめられていた。
三浦さんは、講演のまとめで「すべてがうまくいったのではない。失敗も挫折も多く経験した」「ただ、あきらめずに親身に関わってきただけ」と語った。
講演終了後に、質疑応答。交番勤務の警察官などから、青少年の深夜はいかいに補導以外の対応法や心に問題を抱える子どもにどう接するかなどの質問があった。