東京で出身者と意見交換

東京奄美会などの各郷友会の代表が参加して奄美振興に関する意見交換会が行われた=千代田区平河町の都道府県会館で

技術やノウハウ生かせるシステムを
県の奄振総合調査
「島との情報共有」求める意見も 

【東京】県離島振興課は7日、2017年度奄美群島振興開発総合調査の「東京奄美会意見交換会」を都道府県会館で行い、奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)に基づく今後の新たな戦略を構築するためのアドバイスを参加者に求めた。参加者からは「先に資料等が届いていたら、島に我々が何ができるかを考えられた」との苦言や、「島のために何ができるのか島との情報共有ができていない」などの厳しい声も出るなど活発な意見交換が行われた。

18年度末で期限切れを迎える奄振法延長に向けた総合調査。奄美群島の現状・課題およびこれまでの奄振事業の成果についてなどの概況が伝えられた後、奄美振興に関し意見交換。先に行われた県議や12市町村首長らから「島出身者から、奄美はどうあるべきかを幅広く聞いて欲しい」との要望に沿った。5月下旬には関西在住の奄美出身者との意見交換があった。

親睦と出身地である島への発展に寄与することが趣旨で活動している東京奄美会幹部や各郷友会の代表者の参加者は、島への発展に寄与したいが、具体的な行動ができてないことを認めつつも「我々が持っている技術やノウハウを島のプロジェクトに生かす仕組みづくりを」と、東京で培った仕事力を島で生かせるシステム作りを注文。「会社の友人や隣近所に、積極的に一人ずつの小さな活動で交流人口を増やそう」との人的交流促進の声なども寄せられた。

また、高校卒業後、本土に進学・就職し、その後に島に帰りたくても就職先がないことから「島に帰れるための政策を、これまでの発想を変えて試験的にやって欲しい」などのアイデアのほか、具体的な意見として黒糖焼酎について「一つのブランドにして欧州で売るなどの試みを」や、「島の言葉は大事なので、島の言葉を絶やさないように遺産登録しては」「屋仁の八月踊りは文化遺産に」「観光案内のパンフレットを、沖縄を参考に歴史・泡盛・料理・舞踊などのように作って欲しい」。さらには介護で帰省する場合、お盆や・お正月も使えるような「介護航空チケット優遇を」など多くの意見が相次いだ。

総合調査では、交流人口の増加や人口減少、高齢化の進展など社会情勢や奄振交付金の成果などを総合的に分析し、奄美群島の今後の振興開発の方向・方策を明らかにしていく。県は今年度内に総合調査の報告書をまとめる。