今年最小の満月観測

西康範さんが撮影した「ストロベリームーン」(奄美市笠利町で、9日午後7時10分撮影)

奄美の海辺で「ストロベリームーン」

 9日に観測された満月は今年最小。奄美市名瀬の西康範さんが、同市笠利町の海岸で撮影に取り組んだところ、明るい時間での撮影だったが、水平線上の薄い雲間から現れた満月は、薄いピンク色に染まっていた。奄美の海辺に浮かんだ「ストロベリームーン」。奇岩のシルエットが色彩の鮮やかさを引き立てている。

 国立天文台のホームページによると、月の軌道は太陽や地球などの重力を受けてわずかに変化するため、月が地球に最も近づく位置(近地点)や、最も遠ざかる位置(遠地点)での距離は毎回異なる。6月9日の満月は、月が地球に最も遠い位置にあったため、一年で最も小さい満月として観測された。最大の大きさと比べると、14%視直径が小さくなるとされている。

 ピンク色の「ストロベリームーン」と呼ばれるのは、米国のイチゴの収穫期にちなんでいるとされており、6月だから赤色やピンク色に見えるというのは誤りのようだ。「天体は地平線の近くで見ると赤系に色付きやすい」「地平線の近くにある月を夜明けや日没の時間帯に見るとピンク色に見える場合がある」という指摘もある。

 西さんによると、同日の月の出は、日の入りよりも20分も早かったことから明るい時間での撮影になったという。「ふだん明るい時間の月は白々とした月だが、この日はややオレンジがかった色を帯びていた。だが、月が上がっていくといつもの黄色の月に見られた」。6月の満月は南中高度が低いことから、高く上がっている月も少し色が濃く見える(ただし濃くても黄色)ようだ。

 なお、国立天文台によると今年最も大きな満月となるのは12月4日。日付が変わったばかりの午前0時47分に満月となり、その後の午後5時46分に近地点を通過するという。天候に恵まれたら最小と最大の満月の大きさの違いが実感できるかもしれない。