国立公園のシマ歩き

奉安殿の魅力を解説する東川さん

地域資源を学習 龍郷町の秋名・幾里集落で
「当たり前が意味のある場所に」

龍郷町の秋名・幾里集落で11日、県内や九州各地で観光ボランティアガイドの育成などに取り組む東川隆太郎さんを講師に招いて「まち歩きのプロ東川隆太郎先生と歩く国立公園のシマ“あきいく”」が行われた。町内外から約40人が参加し、両集落に点在する魅力スポットを巡り国立公園に指定された奄美の観光資源を学習した。

東川さんは、NPO法人まちづくり地域フォーラム・かごしま探検の会代表理事。国の重要無形民俗文化財である「秋名のアラセツ行事」は、3年前に訪れて見学したが、住民参加の集落=シマ=歩きは今回が初めてという。

集落歩きの対象地は、両集落のアガレ(東)、金久(幾里)、里、金久(秋名)の4地区にある11カ所。参加者は東川さんから、集落歩きの方法の説明を受けて秋名コミュニティセンターを出発した。

田袋を横目に県道を渡り、幾里の金久地区で墓地内の仏像墓や幕末の頃に遠島されていた刀鍛冶の屋敷跡を見学。同町幾里の窪田圭喜さん(秋名アラセツ行事保存会長)が、参加者たちを引率して集落内の神道やケンムン出没地などを解説しながら案内した。

東川さんと参加者は墓地を後にして、秋名川沿いにトンネル前まで移動。県道を渡って、アガレ地区に残存する奉安殿跡で東川さんがその魅力を語った。

その後も、秋名集落でウントノチの琉球石垣やショチョガマ、平瀬マンカイの祭場などを視察した。

集落歩きの後は、秋名コミュニティセンターに戻り「自然とシマの文化、暮らし」のテーマでシンポジウムを実施。東川さんが進行を務め
、両集落代表の窪田さんと山田眞砂子さん(秋名)が登壇。パネルディスカッションで集落歩きの感想や、秋名・幾里集落の魅力などが発表された。

東川さんは、集落歩きを通して、「両集落の地域に魅力があり、集落歩きは予定時間を超過してしまった」「集落の人には当たり前の場所が、他所の人には面白く意味のある場所になる。これからの集落歩きは、地域住民に主人公になってもらいたい」と語った。