海岸クリーン作戦2題 徳之島町

天然記念物オカヤドカリ〝一斉産卵〟のメッカ金見崎海岸のクリーン作戦=11日午前、徳之島町

観光連盟、海岸クリーン
徳之島観光連盟が主催。奄美海保部の漂着物調査=11日午後、徳之島町

オカヤドカリ・ウミガメ産卵地 金見崎、諸田両海岸すっきり
海保、漂着物調査も並行

【徳之島】6月は海洋環境保全月間―。徳之島町金見集落(佐武義郎区長、37世帯88人)主催の金見崎海岸の美化作業と、徳之島観光連盟(重田勝也会長)主催の同町諸田海岸の美化作業が11日午前、午後にあった。町内外の一般ボランティアを交えそれぞれ約100人が参加。炎天下、漂着ゴミなど回収に汗を流しウミガメやオカヤドカリの産卵ポイントの保全に一役買った。

金見崎海岸の活動には、NPO法人徳之島虹の会(行山武久理事長)が協力し参加を呼びかけた。住民や町職員、虹の会会員を中心に保育園児~80代までが参加。午前9時半から2時間、金見崎海岸のオカヤドカリの〝一斉産卵〟のポイント通称「真崎(まさき)浜」を中心に延長約5㌔の海岸線で人海戦術を繰り広げた。
 
回収した漂着ゴミは外国製を中心にペットボトル、発泡スチロール、浮きや網などの漁具、ビン、缶類など軽トラック約10台分にのぼった。

家族4人で参加した伊仙町の公務員常秀範さん(36)は「世界自然遺産登録に向けて少しでも力になりたい。上から見ると分からなかったが、漂着ゴミが意外に多かった。産卵場所も初めて知ることができた」とにっこり。

虹の会の美延睦美事務局長は「金見崎海岸はウミガメやオカヤドカリの産卵の名所。しかし、集落は高齢化と過疎化が進み、北風で運ばれる大量の漂流ゴミは集落民だけでは回収できないのが課題。予想外の参加数は、自然環境への住民意識が確実に高まっている表れだと思う」。

佐武区長(66)も「年1回海岸を清掃しているが人手が足りない。金見崎海岸だけではなく、美しい海があればこそウミガメやオカヤドカリも産卵ができる。ご協力に感謝します」と話した。

観光連盟の同活動は、奄美海上保安部の漂着ゴミ調査と併せて実施。会員をはじめ同海保部や徳之島署、スポーツ少年団、ボランティア有志など関係者が協力した。

奄美海保部警備救難課の岡留正樹国際取締官は、世界自然遺産登録にも向けた景観の保全、ビンの破片などによる砂浜での負傷事故防止、不審船や水難事故の発見通報など住民との連携―などの面からも協力に感謝。観光連盟の重田会長(44)も「子どもたちを含め多くの方に参加いただきありがたい。世界自然遺産登録にも向けて、島を良くしたいとの気持ちの表れだと思う」と話した。