「ハンセン病啓発週間」

「ハンセン病を正しく理解する週間」の啓発パネル展(奄美市役所)

偏見・差別ない社会へ
県・市役所でパネル展

「ハンセン病問題を正しく理解する週間」(6月18~24日)に合わせハンセン病に関する啓発パネル展(県、奄美市共催)が12日、市役所名瀬総合支所1階ホールでスタートした。県は偏見・差別のない社会づくりと、ハンセン病問題の正しい理解を呼び掛けている。

県は同病の正しい知識と偏見や差別の解消、同病療養所入所者の名誉回復を図る目的で、例年奄美市の公的施設で普及啓発活動を実施。会場には、ハンセン病問題の理解を深めるために療養所に強制隔離された入所者の当時の生活、らい予防法改正・廃止の経緯や新薬プロミンによる現在の治療状況などについて説明パネルが展示されている。

また展示物には、療養所訪問募集のリーフレットやハンセン病問題を理解するためのパンフレット、星塚敬愛園(鹿屋市)所有の関連書籍も。パンフレットは、(公財)日本財団の作成で元患者の「語り部」の男性高齢者に、ハンセン病について児童男女2人がインタビューを行う形式で分かりやすく解説されている。

同市名瀬和光町の国立療養所「奄美和光園」は、地域との交流写真をパネル展示。同園は夏祭りや敬老会など季節の行事で地域住民と入所者が楽しく過ごし、市教委主催の「ふれあい和光塾」で市民との交流が図られている。同園の入所者数は27人(6月1日現在)と減少をたどり、自治会は存続が危惧されるとしている。

同園の現状を説明する展示で、「社会の一員として、偏見や差別をしないよう」呼び掛け。住民にできることとして、療養所の人たちが地域で孤立せず共に生きていけるよう「私たち一人ひとりが過去の歴史を学び交流していくことが大切」と結んでいる。

また県立奄美図書館でも、啓発展示を開催予定。同市と共催で22~29日の日程で、同館3階展示コーナーで実施。展示期間は、市役所が26日、図書館は29日までとなる。