初めてのトビウオ漁に苦戦する参加者
NPO法人TAMASU(中村修理事長)は15日、大和村で、旅行業関係者を招待し、トビウオロープ曳き漁の体験を行った。参加した6人は、実際に漁船に乗り、漁を体験し、調理の見学や試食を行った。
同NPO法人は、伝統文化の保全や、着地型観光の振興事業を行っている。今回は漁業を使った観光商品の造成を目的とし、県大島支庁林務水産課や、奄美群島水産振興協議会などと協力。関係者らを招き、実際に体験してもらい、意見を求めた。
同村津名久の奄美漁協大和支所前に集合した参加者は、同課の今岡慶明水産技師からトビウオロープ曳き漁の説明を受けた。同漁法はトビウオの群れの前方に網を敷き、群れの後方に、「おどしロープ」と呼ばれるロープを流す。おどしロープを引っ張り、網の方にトビウオを追い込む形で水揚げする漁法。以前は同村各集落で行われていたというが、漁師の高齢化などで行われる機会が少なくなったという。
実際に体験する班と見学する班で2隻の船に分かれて乗り込み、同村思勝港を出発。約20分で漁場に到着。漁業経験のない参加者は慣れない手つきだったものの、2回の漁で約100匹のトビウオを水揚げした。水揚げ後は地元漁師がトビウオをさばく場面を見学し、試食を行った。
漁に参加した、南薩観光㈱のスタディン・キャメロンさん(31)は「日本に来る外国人観光客は魚の生食に抵抗がない人が多い。自分で捕った魚をすぐに食べることができるというのは、外国人に喜ばれると思う。しかし、言葉の壁があるので漁に参加するのではなく、見学の方がいいかもしれない」と話した。
中村理事長は「参加客の船酔いなどをどう対策していくかが課題。実際に魚を触って、さばく。伝統の魚食文化が学べるので、子どもたちなどにも勧めたい」と語った。
この日は漁の後、打ち合わせを兼ねた反省会も行われた。