奄美で初の日本熱帯生態学会

奄美で初開催となった日本熱帯生態学会

国立公園での森林管理報告
ポスター発表、奄美の事例も

日本熱帯生態学会の第27回年次大会(奄美)が17日、奄美市名瀬の奄美文化センターなどであった。鹿児島大学国際島嶼教育研究センター、奄美市、奄美群島広域事務組合の共催で、全国から学会関係者約130人が参加し研究者からの報告などが行われた。きょう18日は、一般発表セッションの2日目と公開シンポジウムを行う。

同学会は熱帯を調査地とする生態学者が集まる学会で、全国の大学の大会実行委員会持ち回りで開催。今回大会実行委員長を担当した鹿児島大学の鈴木英治教授は、「鹿児島県での開催は何度かあったが、奄美では初めて行われる」と語った。

1日目は、口頭発表37組、ポスター発表30組や総会・吉良賞受賞記念講演を実施。口頭発表では、インド地域社会の自然利用とトイレ環境やヒマラヤイラクサの加工販売の地域多様性、ブータンの国立公園での地域住民の森林管理などのテーマで研究報告があった。

ブータンは森林管理手法として1979年の国家法で、コミュニティーフォレストリー(CF)を導入。CFを取得した村落は、国立公園局の指導で「10カ年森林管理計画」を作成して持続的に木材利用を維持できるよう資源利用量が厳格に定められている。例として、新築は25年に一度、リフォームは12年に一度で薪など燃材は年1~2本となっている。

ポスター会場は、ギャラリー内に30組を展示。奄美の事例を取り上げたものでは、「奄美群島の山地照葉樹林の組成と構造」と、「奄美大島大浜海岸イシサンゴ群集における2016年度の白化状況」の2組。サンゴの白化状況のパネルは、鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室の藤井琢磨特任助教と奄美海洋生物研究会の興克樹会長ほかによる大浜海岸礁池内のサンゴ群集の定点観測の成果をまとめ作成されている。