徳之島自然保護協

奄美群島国立公園「特別保護地区」の門扉わきの雑木を無断伐採し、車両を侵入させていた「剥岳林道」
=5月10日、徳之島森林事務所撮影

ハブ捕獲目的か 国立公園特別保護地区で
門扉無視・雑木伐採・不法侵入報告も

【徳之島】徳之島地区自然保護協議会(松村博光会長、会員17人)の2017年度総会が20日、天城町役場であった。事業計画では、世界自然遺産登録を目指し今秋にも迫った世界自然保護連合(IUCN)の現地調査に備えコア地域の外来植物駆除も予定。ほか協議で林野庁・徳之島森林事務所は、奄美群島国立公園の特別保護地区(最上位)内の「剥(はげ)岳林道」門扉脇の雑木を何者かが無断で伐採、繰り返し不法侵入していた事案を報告。指定区域の周知・啓発の徹底も課題に上がった。

環境省や林野庁、地元3町当局者ら含め約20人が出席。松村会長は3、4カ月後に迫ったIUCN現地調査に備えた課題の解決に協力を要請。17年度活動計画には、自然保護パトロールのほかオオキンケイギクやギンネム、アメリカハマグルマなどの外来植物の駆除、第2回外来ネコ問題シンポジウムの開催、自然保護講演会なども盛り込んで承認。ほか現状報告などを交え協議した。

徳之島町大原―天城町三京地区にかけた国有林をぬう「剥岳林道」(全長約2・3㌔)の両サイドには昨年12月、鹿児島森林管理署・徳之島森林事務所が門扉(鋼管製)を設置して施錠。一般車両の無断進入の規制を始めた。①希少動植物の盗採・盗掘防止②林道の路面保護(車両進入増懸念)③林道が世界自然遺産推薦区域に含まれ、トレイルコースにも活用予定―であることなどが理由。

徳之島森林事務所の宮川貴之首席森林官によると、4月17日のパトロール時に、何者かが大原側の門扉左側の雑木類(最大径約20㌢)を無断で伐採して車幅を確保し、侵入していた痕跡を確認。その後の重点監視で、ハブの捕獲が目的とみられる同一人物であることがほぼ判明したという。

ちなみに国立公園指定エリアの最上位「特別保護地区」(コア地区)は、「ハブも生態系の1つとして守られ捕獲が禁止されている」(環境省徳之島自然保護官事務所・沢登良馬自然保護官)。国立公園指定(3月7日)後に初めて表面化した同問題を厳密に問うと、「自然公園法違反」「器物損壊」「不法侵入」などに該当。宮川首席森林官は「今後もパトロールを強化したい。不審者や不審車両などを見つけたら通報を」と話した。

協議ではほか、同特別保護地区が重複する徳之島町林道「山クビリ線」などについても啓発表示板の設置。島外からの昆虫トラップ設置・盗採者に対する警告・啓発パンフ作成、宿泊施設への配布。人数・労力面で「限界に達している」という外来植物駆除作業などでは今後、建設業協会など他団体との連携―を求める意見もあった