知名町・誘殺状況説明会

島内のマンゴー農家らが出席した説明会=知名町=

ミカンコミバエ警戒
「外国からの飛来」可能性大 果実の適正管理呼び掛け

【沖永良部】ミカンコミバエ種群の誘殺状況説明会が26日、知名町中央公民館であった。島内のマンゴー農家ら約70人が参加。ミカンコミバエが発見された原因について門司植物防疫所名瀬支所の田中洋次席植物検疫官は「与論と沖縄での発生はない。外国から飛来した可能性が高い」と述べ、防除策として果樹・果菜類の適正管理を呼び掛けた。

同町では、県が月2回実施しているミバエ類の侵入警戒調査で、ミカンコミバエの雄2匹の誘殺を確認した。確認日は、今月21日(徳時集落)と同22日(知名集落)。

会では、田中次席植物検疫官が「誘殺が確認されただけで発生したわけではない。現時点で果物類が出荷できなくなるわけではない」と強調し、誘殺確認以降の対応やトラップの増設、寄主果実調査、初動防除としてのテックス板設置などの状況を報告した。

寄主果実調査については、6月23日に誘殺確認地点の半径2㌔以内にある90地点から約1300個の果実(バンシロウやパパイア)を採取し、5日間保管した後に切り開いて幼虫の有無を確認する。来月5日に2回目の採取を行うという。 

果樹農家や地域住民が出来る取り組みとして大島支庁農政普及課特殊病害虫係は▽摘果果実等をほ場に放置しない▽家庭菜園のピーマン、ナス、トマトなどの適切な収穫と早期の消費―などを挙げ、「ミカンコミバエ種群はバンシロウによく寄生するので、使用しないものは伐採、剪定し、熟期を迎えたものは早めに収穫、消費して欲しい」と注意を促した。

質疑では、ミカンコミバエが見つかった原因について田中次席植物検疫官が「発生した場所からの飛来が考えられるが、沖縄と与論での発生はない。台湾や中国、フィリピンなどの外国から飛んできた可能性がある。ミカンコミバエが見つかる前に、外国からどのような風が吹いているのか調査したところ、6月12日くらいから台湾方面から強い風が吹いている。人が持ち込んだ可能性も否定できないが、外国船の入港や海岸に多くの果物が漂着したなどの情報はなかった。現時点では、外国から飛来した可能性が高い」。寄主果実調査の結果による果物類等の出荷停止の可能性については「1カ所で1個の寄生果実が発見されたというレベルでは、出荷停止にならない」と答えた。

参加した知名町新城の大當晴信さん(75)は「説明を聞いて安心した。今後の対応で収束してくれれば有難い」と話した。