徳之島コーヒー生産支援PJ

徳之島コーヒー生産支援PJで調印(左から吉玉組合長、大久保伊仙町長、AGF㈱品田社長、丸紅㈱梶原部長=6月26日、伊仙町

「ジャパニーズコーヒー」産地化へ

 

味の素AGFと丸紅 生産者や伊仙町と調印

 

 【徳之島】日本の水と和菓子に合う国産「ジャパニーズコーヒー」ブラントを模索している味の素AGF㈱(品田英明代表取締役社長)と総合商社丸紅㈱、伊仙町、徳之島コーヒー生産者会の官民4者間の「徳之島コーヒー生産支援プロジェクト事業」の調印式がこのほど同町であった。台風常襲地最大の課題「防風」対策に立ち往生して35年。AGF専用農園やビニールハウスの設置、苗木の供給などを通じて「ジャパニーズコーヒー」の産地化を後押しする。

 味の素AGF(旧・味の素ゼネラルフーヅ)は、国産「ジャパニーズコーヒー」を目指すAGFブランド『煎(せん)』と和菓子を愉しむ―という新しい食文化の創造をコンセプトにした「珈琲 和菓子プロジェクト」を推進。丸紅に依頼して国内コーヒー栽培地をリサーチしていた。そして、伊仙町内で約35年間の栽培キャリアを持つ吉玉誠一さん(72)が組合長を務める「徳之島コーヒー生産者会」(組合員数16人)に〝白羽の矢〟を立てた。

 生産支援プロジェクト事業調印式は先月26日、味の素AGFの品田社長、丸紅の梶原和幸飲料原料部長らを迎え、生産者ら関係者立ち会いで同町ほーらい館であった。調印後、大久保明町長は「台風被害で多くの生産者たちが挫折したが、日本を代表する企業と防風対策を進めれば可能性が」。吉玉組合長も「一番辛かったのは2年連続の台風被害。AGFと丸紅さんの力を借りて、徳之島がコーヒー生産地になれば、コーヒーの常識を根底から覆すことに」とも期待を表明。

 丸紅の梶原部長は「コロンビアやエチオピアなどには、伝統的な小規模なコーヒー栽培農家がおり、非常に手を掛けておいしいコーヒーを生産している。徳之島産コーヒーも飲ませていただき、そのおいしさに驚きを感じた」と評価。

 AGFの品田社長は「ジャパニーズコーヒー」を目指すブランドAGF・煎で、全国和菓子メーカーとのコラボした取り組みも解説。「日本のコーヒーといえば『徳之島コーヒー』と言われるよう、10年~30年後にパッション(情熱)をつなぎ、逆に海外の人にも飲んでもらえるような夢のスタートの日」と強調。「苦労の始まりの日かもしれないが、逃げずに一緒にやります。顔が見える信頼関係で結びついた提携関係としてスタートしたい」と、不退転の決意を示した。

 生産者会の現栽培本数は約600本、収穫量約70㌔。5年後の目標は1万本、10㌧。支援プロジェクトは3年計画で、▽AGFはコーヒー豆の生産支援・購入・商品化の検討▽丸紅は、豆の物流・保管管理▽町は、PR活動などを支援。AGF側は専用農園(ビニールハウス)の設置や苗木の供給なども行うという。式では、品田社長から吉玉組合長へ苗木贈呈のセレモニーもあった。